【金投資家インデックス】金投資家がパンデミック以来初めて購入を上回る売却を行う 2021年10月7日 木曜日 15:53 世界有数のオンライン貴金属市場の金売却量が購入量をパンデミック以来初めて上回りました。 9月に金価格が月間平均で4月以来の低水準へと下げたことにより、ブリオンボールトでは個人投資家が新型コロナウイルスのパンデミック以来、初めて貴金属の購入を上回る売却を行っていたことが最新のデータで明らかとなりました。 しかし、月間で購入量が売却量を上回ったネット購入者数は引き続きネット売却者数を上回ったため、ブリオンボールトの金投資家インデックスは8月から0.9ポイント減少したものの、54.7と50.0の水準を上回ることとなりました。 金投資家インデックスは、その月に金地金を月間で購入量が売却量を上回ったネット購入者数と売却量が購入量を上回ったネット売却者数のバランスを示し、この値が50.0であれば、ネット購入者数とネット売却者数が完璧に一致したことを意味します。 金投資家インデックスは、2020年3月にコロナ危機が世界中の金融市場を襲った際に 、8年ぶりの高い数値となる65.9を記録し、それ以前の5年間の平均値は53.9で、その後の18ヶ月間の平均値は58.0となっています。 金価格を見てみると、金市場における2021年の夏枯れ市場は秋も続いています。 これは、低い水準を推移する新規顧客数と既存の顧客による売却が限定的である状況にも反映されています。 ブリオンボールトの顧客が9月に所有している金地金の量は、 20ヶ月ぶりに減少し、8月末の新記録から87.5キログラム(0.2%)減の47.5トンとなっていました。 銀地金は米国建て価格が2020年7月以来の低値を付けたことで需要が減少し、ブリオンボールトの顧客は保有量を1.7トン増やすにとどまりました。 その結果、銀地金の保有量は0.1%増加の1,234.9トンとなり、14ヶ月連続で月末の記録を更新することとなりました。 また、ブリオンボールトの顧客が保有するプラチナの量は1.5%増加したことから、9月末段階での顧客保有資産の総額は36億ドル(3970億円)となっていました。 そこで、銀投資家インデックスも9月は買い手と売り手のバランスが崩れ、前月比0.8ポイント減の54.8とわずかながら低下していていました。 この数値は、昨年3月に銀価格が2009年以来の安値に落ち込んだ際には、過去最高の75.1を記録し、それ以前の5年間の平均は52.8で、その後の18ヶ月間の平均は57.9となっています。 2005年にサービスが開始され、現在175カ国で98,600人以上が利用しているブリオンボールトでは、9月の新規投資家の数は3ヶ月ぶりに増加していたものの、2020年9月の新規顧客数を54.8%下回り、5年間の月平均を37.9%下回っていました。 それでは、なぜ価格が下げているにも関わらず貴金属投資への興味が下がっているのでしょうか。 金は歴史的にも現金や債券投資に代わる資産である中で、米国連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小や世界的な金利上昇に直面して、価格は苦戦しています。 しかし、金融政策による金への逆風は、インフレの強さと世界の株式市場における急激な緊張感によって打ち消されています。 金は、他の資産のパフォーマンスが悪化した際に魅力を増す傾向があり、株式の変動が続く場合には、ポートフォリオの保険として金の役割が際立つこととなります。そして、銀の強い上昇は、歴史的に生活費の急騰時にインフレヘッジの需要から起きています。