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【金投資家インデックス】金投資は強気傾向を続けるものの、新規顧客数は弱気市場の水準へ

銀においては、売却者数が購入者数を上回っていました。
 
ブリオンボールトのエィドリアン・アッシュは、この夏、金投資は強気傾向を維持しているものの、投資家は銀投資で利益確定を行っていると、個人投資家の7月の傾向をまとめています。
 
金と銀の新規購入者がブリオンボールトで先月の低い水準だったのは、世界金融危機後に金と銀が弱気市場にいた2014年の春でした。
 
それとは対照的に、今日、金と銀は、金利が20年来の高水準に引き上げられたにもかかわらず、堅固な動きを見せており、価格の強気相場が続いています。
 
それは何が原因なのでしょうか?
 
金投資家インデックスと月間平均金価格のチャート 出典元 ブリオンボールト
 
金投資家インデックスは、その月に金地金の保有量を増やした月間購入者数と、金地金の保有量を減らした月間売却者数を指数化してその月の金投資傾向を示しています。
 
コロナ危機が始まった2020年3月に65.9でピークに達し、50.0を上回ると、その月の月間購入者数が売却者数よりも多かったことを示しています。
 
7月の金投資家インデックスは、6月に8ヶ月ぶりの高水準を記録した後、2.1ポイント後退して54.1となっていました。
 
一方、銀投資家インデックスは4.3ポイント低下して48.3となり、2023年4月以来の低い数値となっていました。これは、より工業用途需要が高い銀の価格が、「安全な逃避先」である金価格の上昇ペースを上回ったため、月間売却者数が購入者数を上回り、9ヶ月間で4回目の50を割る数値を記録していました。
 
銀投資家インデックスと月間平均銀価格のチャート 出典元:ブリオンボールト
 
現物地金は利回りを支払わないため、金利上昇は、世界の株式市場の急騰と同様に、個人投資家にとっても機関投資家にとっても、貴金属の魅力を鈍らせることとなります。
 
このように、金と銀への投資資金の流入がないため、金地金価格の上昇がより顕著になっています。これは、宝飾品需要と中央銀行の金の需要の強さと、太陽光発電設備の設置の加速に牽引された銀の工業用需要の強さを浮き彫りにしているからでもあります。
 
このような強気の消費者需要と新興市場の中央銀行からの執拗とも思える金購入が要因となり、今年これまでのところ、金地金価格は底堅く上昇を続けています。そこで、投資需要が戻ってくれば、今春の米地域銀行破綻による銀行業界への懸念が広がった際に見せたように、価格は一気に上昇する可能性があります。
 
金投資家インデックスと同様に、7月の金投資需要は重量ベースでも減少し、ブリオンボールトの顧客の金地金保有量は48.2トンで評価額30億ドル(4,250億円)相当を多少超える水準でと、過去2年間で最も強い需要のあった4月から6月までの四半期を経て、ほぼ横ばいとなっていました。
 
しかしながら、銀地金の売却量は再び購入量を上回り、ブリオンボールトのユーザー所有の銀総量は7.0トン減少して1,244トンとなり、過去最高であった昨年10月から1.8%減少し、評価額は9億3,800万ドル(1,360億円)相当となっていました。
 
7月の金と銀の価格は、6月の安値に比べ、ドル建てでピーク時にそれぞれ4.3%と12.7%上昇(英国ポンド建てで2.1%と11.1%、ユーロ建てで2.1%と9.3%、日本円建てで2.7%と11.5%)した一方で、既存の貴金属投資家以外の新たな関心は弱いものとなっていました。
 
初めて地金を購入した新規顧客数は、4ヶ月連続で減少し、2014年4月以降で最も少なかった6月の数から更に18.9%減少していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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