【金投資家インデックス】金と銀への投資が2022年を目前に進む 2022年1月6日 木曜日 18:40 新たな地金投資の需要は、利益確定の売却を上回る事となりました。 金と銀の投資需要は新年を目前に増加し、金投資家インデックスと銀投資家インデックスは共に3ヶ月ぶりの高水準となり、2021年後半の貴金属の利益確定の動きを反転させていました。 金価格は11月に上昇し、コロナ危機以前以来の金売却に拍車がかかった後、米連邦準備制度理事会(FRB)がより速いペースの量的緩和縮小と2022年の金利引き上げのスケジュール発表したことから、12月に2ヶ月ぶりの安値を付けていました。 この価格下落により、世界最大の貴金属現物オンライン市場を提供し、175カ国の約10万人の顧客の38億ドル(4340億円)の貴金属を管理するブリオンボールトにおいて、金投資需要は堅調で、11月に利益確定によって売却された売却料量から購入量を引いたネット売却量の213kgを15kg取り崩すこととなりました。 その需要を牽引したのは、金の売却を選択した投資家の数が11月の数値からほぼ半減して45.2%減と、2016年夏の英国がユーロ圏から離脱することを決定した国民投票後以来の急激な前月比減少となっていたことでした。 しかし、金を月間で売却量よりも多く購入したネット購入者数も7.4%減少したために、金投資家インデックスは54.2と、11月の28ヶ月ぶりの低い数値から1.4ポイント上昇して、9月以来の高い数値となっていました。 金投資家インデックスは、月間で金を購入した量が売却量を上回ったネット金購入者数とネット売却者数が完全に一致した場合、50.0になるように設定されています。2020年3月にコロナ危機が始まった際に9年ぶりの高値65.9を記録し、同年は57.0で終了していました。 では、なぜ2021年にこの数値は下げたのでしょうか。 2020年の金への記録的な資金流入を、貴金属が再び繰り返すことは厳しいものであること、そして、インフレ率の上昇にもかかわらず、地金価格と同様に貴金属投資家心理が改善しなかったことも明らかとなりました。 個人投資家とマネーマネージャーはコロナ危機が始まると前例のない量の金を購入しましたが、2021年の新規流入はその急増の水準には至りませんでしたが、長期的なポートフォリオの保険的役割としての金への信頼は、金への分散投資に変化がなかったことからも、揺るぎがなかったことも示していました。 そして、金価格は米国FRBの12月の声明と将来の利上げ予測を受けて下げた後に、新年を目前に上昇して、2021年の終値はトロイオンスあたり1820ドルで、前年終値比で3.8%となっていました。 しかし、2021年全体では、金の年間平均価格は米ドル建てで1.6%上昇し、6年連続の上昇となっていました。 ブリオンボールトの顧客が保有する金地金の量は、昨年3.6%増加し、2021年末には47.5トンとなり、顧客が選択できる保管場所のロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒで、安全に保管、保険がかけられて貯蔵されています。 これは、世界のほとんどの国の中央銀行の金準備よりも多く、世界の株式市場で取引されている金上場投資信託(ETF)のうちのトップ13銘柄を除くすべての銘柄の保有金残高よりも多い規模となっています。 11月には銀価格が上昇していたこともあり、工業用途需要が6割以上と高い銀の売却に拍車がかかっていましたが、12月に銀価格は月間で米ドル建てで7.1%下落と、2020年3月のコロナ危機時の暴落以来最も大きい下げ幅となり、2020年7月以来の月間平均価格の安値を付けていました。 この価格の急落により、前月の2.7トンの購入量を上回るネットの売却量が反転し、銀の売却を選択する人が前月比38.9%減となり、2019年12月以来の低い水準まで下げることとなりました。 それに対し、銀の売却量を上回る購入をしたネット購入者数は6.8%増加し、銀投資家インデックスは2.3ポイント上昇の54.5となり、27ヶ月ぶりの低水準となった10月から2ヶ月連続の上昇で、2020年12月の54.2とほぼ同水準で2021年を終えていました。 そこで、ブリオンボールトの銀地金保有量は、2021年通年で10.7%増加し、1,251.3トンという史上最高記録で新年を迎えています。 しかし、12月は新規顧客数が急激に減少し、11月の数値から59.3%減少し、昨年7月の2年ぶりの低水準に達することとなりました。 2021年全体では、新規顧客数は、2020年の創設以来の最高値から47.7%減少し、ユーロ圏が前年比52.2%減と、米国の41.8%減、英国の42.4%減を大幅に上回る顕著なものとなっていました。 昨年世界の株式市場が過去最高値を更新し続けたことからも、投資家が分散投資のために金を購入する緊急性を低下させ、このようにリスク資産が上昇するという絶対的な信頼が続くこととなると、2022年の初頭においても貴金属への新規の資金流入を抑制させる可能性があります。 しかし、歴史を振り返ると、ポートフォリオの保険として金を購入する最適な時期は、他の人々が金への関心を無くしている時であり、価格が低迷している際でもあるのです。それは、金は株式市場が高値を維持できなくなり、長期的に下落をした際に大きな上昇をしていることからです。