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【金投資家インデックス】株式と仮想通貨が高騰し、新興国でのコロナ危機が深刻化する中で、 金投資需要は減少

金投資家インデックスがパンデミック前の水準へ低下していました。
 
人々は、経済や金融の混乱への懸念が高まると金を購入する傾向があります。
 
そのため、2020年2月にコロナ危機が始まって以来、金地金を所有する人の数が30%近く増加したのも不思議ではありません。
 
しかし、予防接種の増加、経済活動再開の拡大、株式や仮想通貨に代表されるリスク資産がさらに史上最高値を更新していることからも、新たな金購入への関心が低下していることも当然のことです。
 
金の購入価格は4月に上昇し、2021年に入って初めて月間で上昇していました。しかし、世界の株式市場は史上最高値を更新し、ビットコインをはじめとする仮想通貨の高騰が投資家の話題をさらっていました。
 
それでは、この間金へのセンチメントはどうなったのでしょうが?
 
4月にブリオンボールトにおいて、金を月間で購入量よりも多く売却するネット購入者数とネット売却者数とのバランスが、コロナ危機以前以来の低さとなりました。
 
2021年4月までの3年間の金投資家インデックスのチャート出典元 ブリオンボールト
 
金投資家インデックスは、個人投資家の金投資傾向を実際に取引されたデータから算出するユニークなものです。
 
これは、毎月初めに前月に月間でブリオンボールトで金地金を売却量を上回る購入をした顧客数を、既存の金地金所有者全体に占める割合でインデックス化して表したものです。
 
この世界有数の現物地金オンライン市場を利用して、現在175カ国の95,000人以上のユーザーが37億ドル相当の地金を保有、保管しています。
 
先月、金投資家インデックスは前月比2.0下がって55.4となり、パンデミックの影響でヨーロッパと北米の経済・社会活動が停止した2020年2月以来の低水準となりました。
 
昨年3月の金投資家インデックスは65.9となり、2011年9月以来の高水準を記録しましたが、この数値が50.0である場合は、月間の買い手と売り手の数が完全に均衡したことを意味します。
 
それでも、個人投資家の金購入需要は、コロナ危機以前の水準を堅固に上回っており、株式市場が歴史的な好況を迎える一方で、投資リスクを分散するために金を保有する人の数は増え続けています。
 
金投資家インデックスは先月下げて2019年秋のコロナ危機前のピークを下回ったものの、2020年以前の3年平均を1.5ポイント上回っていました。
 
金の重量ベースのネット需要も4月は堅調に推移し、3月の14か月ぶりの低水準から約5倍の120キログラム以上に達していました。
 
これにより、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの地金専門保管所で安全に貯蔵されている顧客の金地金総保有量は46.7トン、評価額は26億ドル(2890億円)以上という新記録を付けていました。しかし、4月の流入量は、過去最高だった昨年の平均値の5分の1(21.8%)に下げていました。
 
貴金属の新規投資家数も、4月は2020年2月以来の低水準となり、前月比で29.3%減少し、過去最高だった昨年の月平均からは半減(50.8%減)していました。
 
しかし、これもまた、19カ国からなるユーロ圏での62.1%の成長を筆頭に、2017年から2019年の平均値を57.7%上回っており、コロナ危機以前の平均値よりも高い水準を記録していました。
 
そして、現段階で金を所有する顧客数は、コロナ危機以前の2020年2月を30.4%上回っており、銀を所有する人の数は56.5%増加しています。
 
銀投資家インデックスのチャート、2021年4月までの3年間 出典元 ブリオンボールト
 
銀投資家インデックスは、2月のソーシャルメディアの「レディット」での投稿による銀需要が減少したため、4月には58.4から54.3へと4ヶ月ぶりに低下していました。
 
しかし金投資家インデックスと同様に、この指数はコロナ危機以前の平均値(2017年から2019年にかけて52.6)を上回っていました。
 
また、重量ベースのネット需要はプラスで10.7トンに達し、顧客の総保有量は1,193トン、9億9,200万ドル(1,080億円)と新記録を付けていました。
 
また、プラチナの需要も増加し、合計28kgとなり、顧客のプラチナ総保有量は12月の記録に迫る1.8トンとなり、その価値は7,200万ドル(80億円)相当となっていました。
 
2017年春にブリオンボールトでサービスが開始されたプラチナは、銀と同様に、グリーンエネルギーやテクノロジーをはじめとする多くの主要産業で使用されています。
 
そのため、パンデミック後の経済回復とポストカーボンインフラのブームからも、基礎的な生産需要に対して強気の見方がされています。
 
しかし、パンデミックによる経済的ダメージの実際の規模は、昨今行われている未曾有の中央銀行による金融緩和策や政府による景気刺激策による膨大な政府債務の削減計画と同様に、依然として不確実なものです。
 
このような中で記録的な数の人々が金地金を購入しているのも不思議ではありません。そして、金地金を購入する際には、安全性と利便性を確保しながらコストを削減したいと考えている人々が、ブリオンボールトで地金現物を所有しているのです。
 
 

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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