【金投資家インデックス】度重なる危機の中で金価格は下落し、金投資需要は増加 2022年6月8日 水曜日 11:16 金投資家インデックスが11ヶ月ぶりの高水準に達しました。 金価格が昨年の春以来の急落となったことで、5月に金地金投資需要が急増し、ほぼ12ヶ月間で最も高い水準となっていました。 これは、世界有数のオンライン貴金属投資市場を提供するブリオンボールトの顧客が実際に行ったデータを基に算出されている金投資家インデックスが示唆していました。 月間の購入量が売却量を上回ったネット購入者数と売却量が購入量を上回ったネット売却者数のバランスを表すもので、この数値が完璧に一致した場合50.0となるように設定されています。先月は、前月比2.0ポイント上昇し56.2と、2021年6月以来の高い数値となり、利益確定が進んだ前月とは一転して2020年11月以来の高さで、12ヶ月平均を上回っていました。 5月の金投資家インデックスの急上昇は、金価格が14ヶ月ぶりの急激な下落を見せ、ドル建てで4.4%下落し、1月以来の低さの月間平均価格がトロイオンスあたり1839ドルに達したことが背景となっていました。 金価格は現在、高インフレと金利上昇の間に挟まれており、数ヶ月とは言わないまでも、今後数週間は取引レンジ内の動きとなるとアナリストは考えているようです。 この40年間で最悪のインフレによる通貨価値の減少は、富を保全する役割としての金の魅力を高めていますが、貴金属は金利を産まないことからも、中央銀行が高インフレに対応するために速いペースの利上げへと金融政策を転換したことが向かい風となっています。 生活費の高騰と同様に、ウクライナ戦争が及ぼす金融市場への悪影響が「危機」として度重なる中で、株式と経済への懸念が高まり、投資家が価格の下げで金を購入する動機づけとなっている。 5月に金価格が2022年の春の記録的な高値から下落し、世界の株式市場は年初から5ヶ月間で4度目の月間の下落を記録していました。 ブリオンボールトで、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの保管場所で金地金を購入することを選択した個人投資家の数は、4月から16.2%増加し、3月の8ヶ月ぶりの高い水準から大きく下げた4月の下落分の半数を取り戻していました。一方、金の売却者数は23.8%減少し、12月以降で最も少なくなっていました。 重量ベースの金投資需要は、ブリオンボールトの顧客の売却量を差し引いた金購入量がほぼ250キロと堅調なものでした。 そのため、ブリオンボールトの10万人を超える世界の顧客によって保管されている金地金の量は、2ヶ月連続で0.5%増加して47.4トンとなり、評価額28億ドル(3610億円)相当となっていました。 5月の銀価格は、月間平均で米国ドル建てで10.7%下落し、エネルギーを含むコモディティ価格が急落したコロナ危機の2020年3月以来の下げ幅となっていました。 そこで、銀のネット購入者数は4月から18.6%増加する中、銀のネット売却者数は24.3%減少し、12月以降で最も低い水準となっていました。その結果、銀の投資家インデックスは2.4ポイント上昇し、4月に引き続き2ヶ月連続で上昇し、11ヶ月ぶりの高水準の56.0を記録していました。 また、ブリオンボールトの顧客の銀地金保有量は、新年と春先の価格上昇で利益確定売りが出た後に、顧客の購入量が売却量を15トン上回り、5ヶ月ぶりの高い水準の1235トンで評価額が8億6400万ドル(1110億円)となっていました。