【金投資家インデックス】トランプ大統領の関税政策による価格急騰で利益確定が増加する中で新規金投資が121%急騰 木曜日, 5/08/2025 16:45 4月に昨年3月の記録以来の金の利益確定売りとなっていました。 先月金相場の急騰は、過去4年間で最多の新規投資家数を記録させることとなった。しかし、それはまた、ブリオンボールトにおいて、この12ヶ月間を超える期間で最も激しい利益確定売りに拍車をかけていました。 世界でも有数のオンライン貴金属市場を提供するブリオンボールトは、世界の顧客(9割が西欧もしくは北米在住)の、過去最高となる46億ドル(34億ポンド、40億ユーロ)相当の金地金を安全に保管しています。そして、4月に新たに金投資を初めた新規顧客数が前月比56.0%増、前年同月比では121.6%と、2021年2月以来最も多くなっていました。 しかし、金地金の売却量は再び急増し、20年前に設立されて以来、24時間休みなく稼働しているブリオンボールトのオンライン貴金属市場において、月間で5番目に多いネット売却量となっていました。 そのため、トランプ大統領がホワイトハウスに復帰したことで、初めて金地金を購入する投資家が増加した一方で、彼の政策がもたらした記録的な金地金価格は、既存の金地金所有者の大きな利益確定に繋がることとなりました。 その中には、年初に初めて金の購入を選択した投資家も含まれており、価格の高騰による利益確定の機会が、トランプ大統領の政策の影響に対する長期的な懸念に勝ったことから、短期的に利益を確定しています。実際、2025年に新たに金を購入した投資家は、過去5年間に金を購入し始めた投資家よりも、4月に売却した割合が7割上回っていました。 それは、ブリオンボールトで1月、2月、3月に金地金を購入した投資家は、平均して、米ドル建てで10.7%(英国ポンド建てで6.2%、ユーロ建てで4.0%)の利益を得ることができたことからです。 ブリオンボールトの顧客ベースで、4月に金地金の保有を開始もしくは追加した人の数は、3月の数値から26.5%増加し、2021年2月のコロナ危機とそれによる移動制限のロックダウンの最中以来最も多くなっていました。 一方、売り手の数は51.1%増加し、中国の需要と取引の急増が世界の金価格を急騰させた昨年3月の記録的な高さ以来の多さとなっていました。 この結果、金投資家インデックス(世界最大のオンライン貴金属市場で実際に取引されたデータに基づいて算出された、金投資へのセンチメントを示す独自の指標)は、4月には54.8とっていました。 これは、3月より0.2ポイント上昇し、昨年4月より3.2ポイント上昇しており、指数の過去12ヶ月の平均を1.2ポイント上回ることとなりました。50.0以上の数値は、ブリオンボールトにおいては、月間に売却を上回る購入を行ったネット購入者数が、ネットで売却を行ったネット売却者数を上回ったことを意味します。金投資家インデックスは、2020年3月にコロナ危機が発生した際に65.9と10年来のピークを記録し、昨年3月の激しい利益確定売りの際に47.5と過去最低値を記録しています。 しかし、この4月に金の購入を選択した投資家の数は、13ヶ月連続で売却を選択した投資家の数を上回ったものの、重量ベースでは売却量は需要を約0.5トン(452kg)上回り、2024年3月の記録的な1トン(992kg)のネット売却量以来の大規模なものとなっていました。これは、1月から3月までの純流入量(86キログラム)の5倍以上となり、四半期としては2023年第2四半期以来の流入量となり、ブリオンボールトの利用者は評価額では、4600万ドル(3500万ポンド、4100万ユーロ)以上の金地金を売却していました。 つまり、金の史上最高値の更新は、欧米の投資需要が鈍いままである中、世界的な宝飾品需要を激減させており、この強気相場は、中国の新たな金投資の急増と、米国資産、特にドルへのエクスポージャーを削減したい中央銀行の継続的な金の需要によって牽引されていたのでした。 4月の新規投資家数の急増は、英国、スペイン、ドイツが牽引し、それぞれ121.8%、147.5%、66.9%と5年前の月平均を上回っていました。しかし、米国の新規購入者数は4月も比較的顕著なものでなかったものの、前月比45.9%増となり、ついに西欧諸国とともに過去5年間の月平均(39.8%増)を上回っていました。これは、2023年4月の「ミニ銀行危機」と2022年3月のロシアのウクライナ侵攻を除けば、過去4年間見られなかったことです。 その一方で、トランプ大統領が関税に関して(そしてパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任に関して)若干言動を控えたことで、金市場の活況が多少冷めている部分もあります。しかし、米国ドルとアメリカへの長期投資の魅力が損なわれたことで、地政学や金融市場での変動に対する全天候型ヘッジとしての金の魅力は今後更に増すことでしょう。