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【金投資家インデックス】インフレーションが数十年来の高さとなる中、金投資センチメントは減少

欧米株価が史上最高値を更新する中、金の輝きが失われていたようです。

インフレ率が数十年来の高さをつけているにもかかわらず、先月投資家の金への興味は低く、貴金属投資へのセンチメントは2019年半ば以降で最も低い水準に下げていました。

しかし、世界最大のオンライン地金市場を提供するブリオンボールトは、重量において金の需要は先月のネットで減少から転換し、今月はネットで増加と急増していました。

生活費の急騰による金への需要の増加にもかかわらず、金価格は横ばいで推移していました。

それは、主要な中央銀行が新興国に追随して量的緩和引き締めへと政策を移行しているために、金利がインフレのペースをはるかに下回っているにもかかわらず、金利を産まないの金にとっては逆風となっているからです。
 
米国のインフレ率は30年ぶりの高水準となっており、パンデミックによる商品価格の暴落を回復させる以上の効果をもたらしています。そして、米連邦準備制度理事会(FRB)は今週の政策会合で、パンデミックによる歴史的な景気刺激策の縮小に着手し、新規のQE資金創出を現在の月1,200億ドルから減少させることが予想されていました。
 
そこで、米国ドル高により、10月の金価格は4月以来の低水準であるトロイオンスあたり1777ドルを下回りったものの、ユーロ建てと英国ポンド建ての価格はわずかに上昇していました。
 
そのような中で、ブリオンボールトの99,000人を超える顧客の中で、金地金購入者数は9月に比べて13.9%減少し、金地金売却者数は12.7%増加していました。

そこで、ブリオンボールトを利用する個人投資家の取引データを基に算出し、地金投資へのセンチメントを表す指標である金投資家インデックスは、9月の54.7から53.4に下がり、2020年1月のコロナ危機以前の水準をわずかに下回り、2019年7月以来の最低値を記録することとなっていました。

金投資家インデックスと月間金価格の推移 出典元 ブリオンボールト

この数値が50.0の場合は、その月に金保有を開始、もしくは金保有量を増加した人の数と、金を減少、もしくは全てを売却した人の数が完璧に一致していることを示します。

金投資家インデックスは、価格が急激に上昇した2019年6月に10年ぶりの低水準となる49.1を記録し、その後コロナ危機が発生した2020年3月に10年ぶりの高水準となる65.9を記録していました。

株式市場の史上最高値更新もまた、エネルギーやその他の商品価格を上昇させるサプライチェーン毀損同様に、金を日陰に追いやっています。

しかし、これらは、金のポートフォリオ・ヘッジとしての価値を損なうものではなく、それどころか、金が最も高い収益を上げるのは、株式が長期的に損失を被ったときであり、今日金を買おうとしている投資家は、市場が閑散とし、他の資産価格がますます上昇している機会を利用しています。

金購入者の数が金売却者の数を継続して上回っていることから、10月の金需要は重量ベースでプラスとなり、123キログラムのネット購入量で前月の売却量を逆転していました。

9月にブリオンボールトの顧客は、世界的なコロナ危機が発生した2020年1月以来、初めてネットで金地金を全体で売却した量が購入量を上回り、87キログラムのネット売却量を記録していました。

しかし、10月に重量ベースで増加したことにより、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、トロント、チューリッヒで保管されている、ブリオンボールトの顧客が所有している金地金の総量は47.7トンを超え、月末の史上最高値を更新し、その評価価値は27億ドル(3090億円)となっていました。

銀投資家インデックスと月間平均銀価格の推移 出典元 ブリオンボールト

銀価格も金と同様に、10月はユーロ建てと英国ポンド建てではわずかに上昇していましたが、米国ドル建てでは下落し、トロイオンスあたり23.30ドルと、2020年7月以来の月間最低水準を記録していました。

金と同様に、銀の購入者数は全体的に減少し、前月比28.9%減となる中で、売却者数は16.6%増と、銀価格がトロイオンスあたり4ドル以上高かった5月以来の高水準となっていました。

そのために、銀投資家インデックスは4月以降で最も速いペースで低下し、3ポイント低下の51.8となり、金と同様に2020年1月のコロナ危機前の低い水準を下回り、2019年7月以降で最も低い値となっていました。

しかし、金と同様に銀のネット需要は堅調に増加し、9.9トンに達し、ブリオンボールトの顧客が保有している銀地金の総量は1,244トンを超え、評価額9億6,100万ドル(1,090億円)となり、史上最高記録を更新していました。

貴金属への新たな投資意欲については、10月の初めての地金購入者数は7月の2年ぶりの低水準から3ヶ月連続で増加しましたが、過去半世紀の平均値を3分の1以上下回る結果となり、2016年以降の典型的な月間の新規投資家数からは34.7%減少していました。
 
繰り返しになりますが、金、銀、プラチナの投資は現段階では勢いはありません。しかし、それゆえにリスク分散が整ったポートフォリオの構築を考えている長期投資家にとっては金への興味は高まる時期でもあるでしょう。そして、他のパフォーマンスの高い資産が長期的に損失を被った際にリスクを軽減することが実証されている保険的役割を持つ金の投資機会とも言えるでしょう。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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