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【金投資家インデックス】イラン戦争による価格急落で、金を購入する投資家数が過去最多に

金融危機やコロナ禍を除けば、金投資のセンチメントは過去最強です。

過去13年間で最大の急落となった金価格を受け、米国とイスラエルがイランと戦争状態に入る中、ブリオンボールトでは過去最多の投資家が金を購入しました。ここで世界有数のオンライン貴金属市場のリサーチダイレクターのエイドリアン・アッシュが解説しています。

個人投資家はこの価格下落を好機と捉えました。今回の急落により、1月の歴史的な価格急騰前の水準に「時計を戻す」ような形で買いのチャンスが生まれたためです。

金価格は史上最高値を更新し、9カ月連続で上昇(過去最長の連続上昇)した後、3月には11.8%下落しました(英ポンド建てで-10.5%、ユーロ建てで-9.7%)。これは原油価格高騰のショックにより、中央銀行や機関投資家、株式や債券の損失補填を迫られたトレーダーによる利益確定売りが進んだためです。

この価格下落を受け、ブリオンボールトで金の購入を選んだ投資家数は2月から約2割増加しました(+18.2%)。同サービスは現在、世界で13万人の個人投資家に利用され、その約9割が西ヨーロッパと北米に集中しています。

その結果、買い手は年初の過去記録を上回り、売り手(+0.4%増)に対して約3対1の比率となりました。また、金投資のセンチメントは金融危機およびコロナ禍のピーク時を除けば、今回が最も強い水準となりました。

金投資家インデックスとドル建て金価格チャート 出典元 ブリオンボールト

ブリオンボールトにおける毎月のネット購入者数とネット売却者数のバランスを追跡する「金投資家インデックス」は、実際の取引行動のみに基づく独自のセンチメントを表す指標です。

この指数は、50.0が買い手と売り手の完全な均衡を示すように調整されており、2011年9月には過去最高の71.7を記録しました。一方、2024年3月には、特段の経済・金融ストレスがない中で金価格が当時の過去最高値を更新した際、シリーズ最低の47.5を記録しました。

2026年3月には、この指数は60.7まで上昇し、前月から2.3ポイント増加しました。2020年8月以来の高水準となり、2024年秋の米大統領選挙直前から続く上昇トレンドをさらに延長しています。

トランプ大統領がホワイトハウスに復帰した初年度に急騰した金価格ですが、イラン戦争の中で下落していることは多くの人々にとって驚きでした。しかし、インフレ上昇による金利引き上げ圧力という逆風に直面する一方で、地政学的秩序の崩壊が進む中、景気停滞とインフレが同時進行する「スタグフレーション」のリスクは、ポートフォリオ分散の必要性を一層高めています。

こうした幅広い需要は、現在の不確実で危険性の増す世界において、金が依然として魅力的な投資対象であることを示しています。

これに対し銀は、より工業用途の比重が高い貴金属であることから価格が下落し、投資センチメントも3月に低下しました。ブリオンボールトの指標は4カ月ぶりの低水準となりましたが、それでも銀投資家インデックスは60.1と、過去170カ月のうち上位12回を除くすべてを上回る水準です。

銀価格は米ドル建てで19.2%下落し、2011年9月以来の最大の月間下落となりました(ポンド建てでは同じく2011年9月以来の-17.5%、ユーロ建てでは2020年3月以来の-16.8%)。これを受け、ブリオンボールトの利用者は合計で約1.5トンのネット購入となり、顧客保有量は総計1,134トン(26億ドル、20億ポンド、23億ユーロ相当)に達しました。

一方、金についても価格下落を受け、10月以来初めて重量ベースでネット購入となり、顧客の総保有量は0.2%増の43.4トン超(64億ドル、48億ポンド、55億ユーロ相当)に拡大しました。

新規口座開設数は2月比で約3割減少しました(-33.2%)。また、1月の過去最高と比べると5分の2未満(-60.5%)にとどまりました。しかしそれでも3月は、ロンドン西部に拠点を置くこのフィンテック企業の21年の歴史の中で、8番目に多い新規ユーザー数となりました。

総じて見ると、2026年の最初の3カ月間での新規顧客数は、2005年4月のサービス開始以来、過去の暦年ベースで見ても上位3年に次ぐ水準となっています。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。



弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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