金価格ディリーレポート(2024年11月18日)金価格はコメックスの米選挙後の低迷の中で70ドル回復する 2024年11月18日 月曜日 16:32 金価格は月曜日にウクライナへの西側の軍事支援をめぐる、ロシアと年明けに退陣するバイデン政権との間の新たな対立の中、為替市場で米ドルが2年ぶりの高値で安定する中、金相場は前週過去3年で最大の下げ幅を記録した後に反発していました。 現物金地金価格は、ロンドン時間昼過ぎに2.8%上昇してトロイオンスあたり2609ドルとなり、前週金曜日の安値を70ドル以上上回り、ドナルド・トランプ氏が大統領選で勝利したことによる下落幅の1/3以上を回復していました。 前週の120ドルの暴落により、ロンドン金相場は2ヶ月ぶりの安値となり、為替市場で米ドルが急騰する中、2021年6月以来最悪の週間の金価格の下げ幅を記録していました。 最新のデータによると、トランプ氏の勝利から1週間後の先週火曜日までに、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機家は、コメックス金先物・オプションにおいて、金に対する強気ポジションをさらに減らし、一方で弱気ポジションを増やしていました。 そこで、全体として資金運用業者のトレーダーによるコメックス金派生商品のネットロングポジションは、それまでの52週間の平均を17.2%上回っていたものの、金の想定元本の重量ベースでは11.0%減少し、3週連続の減少と、8月初旬以来の低水準となる614トン相当となっました。 2016年11月、資金運用業者のネットロングポジションは、その年の大統領選挙で共和党が勝利した翌週に1/4減少し、重量ベースの想定元本411トン相当まで減少した後、 金がアナリスト予想に反して下落したため、さらに7週間縮小を続けていました。 2020年11月の投機的なネットの強気ポジションも、ジョー・バイデン大統領の選挙後の週に減少し、ほぼ1/10の345トンに縮小していましたが、その翌週には下げを回復していました。 「選挙結果は市場からリスクの要素を取り除く」と証券会社ストーンXグループのロナ・オコネル氏は述べていました。 「地政学的な懸念、ドルの安定化、そして投機的なロングの軽量化により、金は(現在)回復しており、新たな買いの余地を残している」と、デリバティブ・プラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセンは分析していました。 今日のドル指数(主要通貨に対する米通貨の価値を示す指標)は、先週1.4%上昇し、7週連続で上昇した後、月曜日に2022年11月以来の高水準を維持していました。 ジョー・バイデン米大統領は週末、ウクライナが米国製兵器を使用してロシアを深部を攻撃することを許可したと、無名の当局者の言葉を引用して報道されていましたが、米大統領官邸と米国務省はコメントを拒否していました。 それに対しロシア当局は、米国製兵器によるロシア国内への攻撃は、紛争への直接的なNATOの関与とみなされると、9月のプーチン大統領のコメントを繰り返していました。 英国ポンド建て金相場は、先週2.2%下落した後、本日1.4%上昇してトロイオンスあたり2059ポンドとなり、ユーロ建て金相場は、前週の2.5%の下落から回復し1.3%上昇してトロイオンスあたり2463ユーロをつけていました。 また、主に工業用金属である銀は、金曜の安値から4.8%上昇し、トロイオンスあたり31.12ドルとなり、先週の3.9%の下げのほぼ全てを取り戻していました。 「米選挙以来の暴落した金は、手ごろな価格へと入ってきた。」とブルームバーグは、ポートフォリオ・マネージャーのコメントを引用し、現在の動きを 「何よりも下げたところで買う(Buy-the-dip)の状況 でそれ以外の何物でもない」と紹介していました。 金地金価格が前週底を打ち、2537ドルから上昇したため、金地金を裏付けとする欧米の信託ファンドは金曜日に拡大し、ニューヨークで取引されている世界最大銘柄のSPDRゴールドシェア(GLD)は、2週間以上ぶりに投資資金が流入し、0.3%増加していました。 一方、世界第2位の金地金消費国であるインドの小売業者は、先週の価格下落に対する需要の改善を報告し、ロンドン価格に対するインドの価格との差はプレミアムであり、前々週のトロイオンスあたり3ドルから4ヶ月ぶりの高値に近い16ドルまで上昇していました。 これとは対照的に、世界最大の金消費国である中国では、本日上海金取引所(SGE)の価格がロンドン相場に対するディスカウントを拡大し、トロイオンスあたり14ドルと、国内需要と供給の弱さを示していました。 歴史的に、上海金取引所の金価格はロンドン相場よりも高い水準で取引されており、トロイオンスあたり平均約8ドルのプレミアムと、中国への新たな金地金の輸入を促していました。