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金価格ディリーレポート(2024年10月7日)金価格はハマスによる10月7日のイスラエル攻撃から1年を経て、金価格は下落、ブレント原油は80ドル台へ

ハマスによるイスラエル南部での残虐行為から1年を経て、月曜日にトレーダーが2024年の連邦準備制度理事会(FRB)の残り2回の会合での米国金利の大幅な利下げ観測が後退したことで、金価格はそれまでの上昇幅を縮小し、原油はドルや米国債利回りと共に数週間ぶりの高値をつけていました。
 
金地金現物価格は、9月下旬の史上最高値を1.0%下回るトロイオンスあたり2660ドル近辺へロンドン早朝に上昇後、2640ドル近辺までに下落したものの、 良好な米雇用統計がFRBの次回11月会合での0.5%の利下げ観測を0%へとしたことによる金曜日の安値を10ドル近く上回っっていました。
 
CMEデリバティブ取引所のFedWatchツールによると、これらのベットは、先週の今頃、11月の0.5%の利下げの確率を35%としていました。
 
「金価格は、中東情勢の激化と健全に見える米国の労働市場の狭間にある」と、証券会社ストーンXグループのシニア貴金属アナリスト、ローナ・オコネル氏は述べていました。
 
それに対し、「原油市場は、 地政学リスクを見過ごすことに安住しすぎていた」と原油関連アナリストはファイナンシャルタイムズに述べていました。
 
イランがイスラエルにミサイルを発射し、中東情勢がさらにエスカレートするのではないかという懸念と脅威が高まる中、欧州の指標であるブレント原油は先週10%近くも急騰し、月曜日には9週間ぶりの高値まで上昇していました。
 
2024年10月7日までの一年間のドル建て金価格とブレント原油価格のチャート グーグルファイナンス
 
2023年10月7日にイランの支援を受けたハマスの武装集団がイスラエルを襲撃し、約1,200人が死亡、251人が人質に取られるという致命的なテロ事件が発生して以来、中東における潜在的な供給障害に対する懸念はあるものの、堅調な供給と世界第2位の経済大国である中国を中心とした需要の低迷懸念から、ブレント原油は過去1年間で10.4%下落しています。
 
対照的に、この間に金価格は43.0%上昇しています。
 
「中東の地政学的リスクは、金の安全資産としての資金流入を支える可能性があり、市場金利のハト派的な価格設定による 下値は限定的だ」とロイターのアナリストは述べていました。
 
米投資銀行ゴールドマン・サックスのチーフ石油アナリスト、ダーン・ストルイヴェン氏は、「イスラエルによる攻撃で、イランの生産量が持続的に日量100万バレル減少すれば、 原油価格は10~20ドル急騰するだろう」と予想していました。
 
イスラエルの重要な同盟国であるアメリカは、イランの核施設への攻撃に反対することを明らかにしたにもかかわらず、イスラエルのヨアヴ・ギャラント国防相は日曜日に、「 すべてが選択肢としてある」と述べた、イスラエル国防軍は、ハマスの攻撃から1周年を迎える月曜日に、レバノン南部への地上侵攻を拡大する構えを見せる中、日曜日にはヒズボラの拠点郊外への新たな空爆を実施した。この間、イランが支援するガザ地区のイスラム組織のハマスは、イスラエルの第3の都市のハイファへのロケットを発射していました。
 
主要通貨に対する米国通貨の価値を示すドル指数は、金曜日に5営業日続伸の後、7週間ぶりの高値をつけた後、本日も同水準で推移していました。
 
米国債10年物利回り(政府、金融、商業用借り入れコストの指標)は年率4.0%を超え、9週間ぶりの高水準に月曜日に上昇していました。
 
この間、欧州最大の経済国のドイツの製造業指標が8月に7か月ぶりの急激な下げを見せたにもかかわらず、欧州全域で債券利回りが上昇し、ドイツの10年物国債利回りはひと月ぶりの高さへと上昇し、欧州株式市場は取引開始時の下げ幅を取り戻して上昇していました。
 
金相場はユーロ建てで2405ユーロ、英ポンド建てで2019ポンドと、金曜の午後に行われたロンドン市場基準価格で史上最高値の2414ユーロと2021ポンドをつけた後、上げ幅を縮小していました。
 
また、工業用需要が年間需要の6割近くを占める銀地金相場は、前場は32.95ドルと12年ぶりの高値を付けた後、月曜日昼過ぎに1.6%下落の31.54ドルをつけていました。
 
中国の人民銀行(中央銀行)は、9月に5ヶ月連続で外貨準備のための金の購入を控えていたことが、 本日発表されたデータで明らかとなっていました。しかし、9月末時点の中国の金保有量は重量で7,280万トロイオンスと変化がなかったものの、評価額ではドル建てでは8月末時点の1,829億8,000万ドルから1,914億7,000万ドルに増加していました。
 
世界第2位の経済大国が1週間の休暇から復帰する火曜日の記者会見で、鄭山傑国家発展改革委員会委員長を含む国家発展改革委員会の高官パネルが、景気刺激政策の実施について記者団に説明することが日曜日に発表されています。
 
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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