金価格ディリーレポート(2022年5月30日)ドル安の中で、原油の急騰とともに金価格は上昇 月曜日, 5/30/2022 17:36 ドル建て金価格はロンドン時間午前中に上昇していました。 これは、ドルインデックスが1ヶ月ぶりの低さへ下げ、原油価格が新たな供給懸念の中で2ヶ月ぶりの高値に急騰する中でのことでした。 金現物価格は、トロイオンスあたり1863ドルまで上昇し、その後ロンドン昼過ぎに上げ幅を1855ドルまで削っていました。これは、先週2週連続の上昇を記録した後のことでした。 それに対しユーロ建ての金価格は、欧州中央銀行が7月に現在ゼロ以下の金利を「解除」する方向へ向かうことが 示唆される中、ユーロが為替市場で上昇し、トロイオンスあたり1723ユーロと0.3%下落していました。 一方、英国ポンド建て金価格はトロイオンスあたり1467ポンドと、前週終値からほぼ横ばいで推移していました。 派生商品プラットフォームを提供するサクソバンクの商品戦略チームは、「(ドルの軟化と債券利回りの低下が)金価格の上昇を促し、エネルギー価格の上昇がトロイオンスあたり1868~70ドルの上値へ再びトライすることを支えた」と述べていました。 月曜日に原油価格は上昇し、ブレント原油先物価格とウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物価格の両方が0.5%跳ね上がり、2ヶ月以上ぶりの高値を記録していました。 5月の原油価格は、現段階で月間5%高と上昇しています。 ドルインデックスは、先週金曜日に月間最安値を更新し、2週連続の下落を記録した後、本日は他の主要通貨に対して下落傾向で推移していました。 米国の株式・債券市場はメモリアルデーの祝日で休場となっていますが、先週金曜日に米国債の利回りは10年債が6週間ぶりの低水準と低調に推移していました。 一方、EU諸国は日曜日にロシアの 石油禁輸に合意できなかったものの、海上輸送を禁止する一方でパイプラインによる輸送を認めるという合意案について協議を続けると発表していました。 ハンガリーは、ロシアの石油とガスの供給に依存している自国の経済にとって、石油の禁輸は「ボディーブロー」となると述べていました。また、スロバキアとチェコ共和国も同様の懸念を表明していました。 ロシアを含む石油生産国のカルテルである「オペック+」は、 欧米諸国がより早い増産を求めているにもかかわらず、昨年合意した石油生産協定を堅持する予定と伝えられていました。 インドのKotak SecuritiesのSunil Katke氏は、「原油価格は、ドル安と中国のコロナウイルス関連規制の緩和も 支援材料となっている」と語っていました。 上海は6月1日から2ヶ月間、人口2500万人の移動規制をおこなった ロックダウンを緩和すると、市当局が日曜日に発表していました。 中国のゼロコロナ政策により、4月の小売売上高と工業生産高は、2020年初頭にパンデミックが始まって以来 最悪の水準に急落していました。 上海金取引所における金価格は、本日もロンドンに対してプレミアムで、金地金の世界最大の消費者市場の卸売価格が4月の0.2ドルから5月のこれまでの月平均2.6ドルに上昇する中で、月曜日にトロイオンスあたり3ドルで安定的に推移していました。 一方、欧州の株価は、ドイツのインフレ統計によると、ユーロ圏第1位の経済大国の5月の生活費は年率8.7%に上昇し、エコノミスト予想の8.0%を上回りましたが、ストックス欧州600指数は3週間ぶりの高値に上昇していました。 スペインのインフレ率も8.5%に上昇し、予想の8.2%を上回ていました。 米国株式は本日祝日で取引が行われていませんが、先週金曜日には米連邦準備理事会(FRB)が重要とするインフレ指標である米国のコア個人消費支出価格指数が4月に前年比4.9%上昇し、3月の5.2%からペースが鈍ったことからも、FRBによる利上げペースが多少緩む観測が広がり、2020年11月以来最高のパフォーマンスを見せた週となっていました。 S&P500種株価指数は前週6.6%上昇し、2001年以来最長となる7週連続の下落から転換し、ダウ工業株30種平均は6.3%、ハイテク株比率の高いナスダックは6.8%の上昇と大きく反発していました。