金価格ディリーレポート(2022年1月31日)FRBの速いペースの利上げ観測でコメックスの増加していた強気ポジションが崩されてドルが高止まりする中で、金は安定的に推移 月曜日, 1/31/2022 18:38 本日金相場はドルが高止まりする中で上昇幅を抑えられる頭の重い動きをしていました。 これは、前週のFOMCで早期の速いペースの利上げが行われ観測で投機筋がコメックス金先物・オプションのネットロングポジションを減らし、金が2ヶ月ぶりの大きな下げ幅を記録した後に、今週の中央銀行の金融政策を待つ中でのことでした。 ロンドンの金現物価格は、先週パウエル米連邦準備制度理事会議長の 「タカ派」的発言を受けて2.4%下落し、11月以来最大の週間の下げ幅を記録した後に、3週間ぶりの安値となるトロイオンスあたり1791ドルから、ロンドン時間昼過ぎにはほぼ横ばいで取引されていました。 この間、ドルインデックス(米国通貨の主要通貨に対する価値を示す指標)は、豪州、英国、欧州の中央銀行の会合を控え、金曜日の18ヶ月ぶりの高値に近い水準で推移していました。 先週のドルの1.6%の上昇は、2021年半ば以来最大の週間上昇だった。 デリバティブプラットフォームのSaxo Bankのコモディティストラテジスト、Ole Hansen氏は、1月中旬にComexデリバティブを通じて金価格に賭ける投機トレーダーのネットロングポジションが39%増加したことを指摘し、「(前)週に金が1830ドルを超えて上昇したことは、FOMC後の 脆弱性を後押しした」と述べていました。 「これらの動きは、先週水曜日のFOMCのタカ派的な傾きに伴うその後の売りが、なぜあれほど攻撃的なものになったのかを説明する一助となった...最近確立したロングは、 急激に崩されることとなった。」と続けていました。 米国の規制機関であるCFTCのデータによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジをかけた投機家は、先週の米国FRBの声明と記者会見の前夜である1月25日(火)までの週に、コメックス金先物・オプションへの強気のポジションを18%増やし、弱気のポジションを18%減少させていました。 これは、バイデン米大統領がパウエルFRB議長の2期目を承認し、パウエル議長が金利引き上げをサポートする観測が広がった11月後半以来の高いネットロングポジションでもありました。この際も同水準まで急増していたネットロングポジションは、先の利上げ観測からも急減し、金価格もそれに伴って下げていました。 「もしデータが、50ベーシスポイントの利上げが必要、あるいは適切であることを示唆するなら、 私はそれに傾くつもりだ」と、FRBアトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁(今年のFOMCの投票権を持たないメンバー)は、フィナンシャルタイムズのインタビューで語っていました。 金曜日に発表されたインフレ指標で、FRBがインフレ指標として注目する、「変動しやすい」食品とエネルギーを除くコアPCE指数は2021年は4.9%上昇し、1982年以来最も早い上昇ペースとなっていました。 英国の金価格は、トロイオンスあたり1336ポンドと横ばいで推移しており、 エコノミストは、イングランド銀行が木曜日に英国の金利を0.25%から0.5%に引き上げると予想しています。 また、欧州中央銀行(ECB)も木曜日に金融政策会議を開くものの、12月に1兆8500億ユーロ(約2兆900億円)のパンデミック刺激策のための龍笛緩和の債券購入を3月末までに停止する計画を打ち出したため、アナリストは変化がないと予想しています。 ユーロ圏の12月のインフレ率は5.0%と、1998年に始まった通貨統合以来 過去最高を記録し、この数値を牽引したエネルギー価格は前年比26%と上昇していました。1月のデータはECB金融政策会議の前日に発表される予定です。 ユーロ建ての金相場は、最新のデータで、EUの最大の経済大国であるドイツの今月の消費者物価は年率4.9%上昇し、12月のペースより遅いものの、アナリストの予測より速いペースであったことから、トロイオンスあたり1600ユーロまで下落した後にロンドン時間昼過ぎには5ユーロ回復していました。 また、CFTCの最新のデータでは、FRBの1月の政策声明に先立つ25日までの1週間で、投機筋の銀価格へのネットロングポジションが15%増加し、金同様に11月23日以来最も高い水準となっていました。 一方、プラチナの先物・オプションポジションは、7週ぶりにネットロングへと転換していました。 工業用途が60%で自動車の排ガス触媒としての需要が高いプラチナの価格は、先週1.8%下落した後、本日ロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり1014ドルで横ばいとなっていました。 また銀価格は、先週7.5%下落した後、本日ロンドン昼過ぎに0.4%上昇しトロイオンスあたり22.58ドルと、直近の3週間における最安値に近い水準で推移していました。 エネルギー価格は月曜日も上昇しており、ブレント原油は1%高のバレルあたり90.90ドルと、 過去30年間で最も上昇幅の大きい1月となる傾向となっています。これは、オミクロン型コロナウィルスの影響が弱まる中で需要高まり観測が広がり、またウクライナをめぐるロシアとNATOの対立をめぐる地政学的リスクが背景となっていました。 貴金属の世界最大消費国である中国の金と金融市場は、1週間の旧正月休みのため月曜日から休場となっています。