金価格ディリーレポート(2021年3月22日)トルコ中銀総裁更迭の混乱懸念で金価格下落 2021年3月22日 月曜日 17:29 週明け月曜日金価格は先週の上げ幅を失う下げを見せていました。 これは、週末に世界第5位の金消費国であるトルコの中央銀行総裁が更迭され、高金利批判者が新総裁として任命され、金のETFが先週金曜日に残高を増加させ、金の先物・オプションの強気ポジションを投機筋が増加させた後のことでした。 ロンドンの取引開始時には、金の現物価格は1%下落し、トロイオンスあたり1727ドルと、先週の上昇分のほとんどを失っていました。 「金、特に銀とプラチナは、トルコの通貨混乱による若干のドル高を除けば何のきっかけもなく、アジア時間に下落で週明けを迎えた」と、デリバティブプラットフォームであるSaxo Bankのコモディティ・ストラテジスト、Ole Hansen氏は述べていました。 銀は3%安のトロイオンスあたり25.43ドルへと下げて金と銀の比率は67を超えて1ヶ月ぶりの高い水準となっていました。また、プラチナは2.5%安のトロイオンスあたり1168ドルへと下げていました。 トルコのエルドアン大統領が2年間で3人目の中央銀行総裁を解任したことで、トルコリラが対ドル14%も下落したため、6つの主要通貨に対する米国ドルの動きを示すドルインデックスは上昇していました。 リラが歴史的な安値を記録した後、2021年の新興国通貨の中で最も優れたパフォーマンスを示すことに貢献したアーバル氏が解任されたことで、トルコの株式市場は急落して、ベンチマークであるイスタンブール100種指数は9%以上も下落していました。 リラはアーバル氏の就任後、1ドル8.58前後から約5分の1回復していました。 今回の決定は、アーバル氏がインフレ上昇に対抗するための急激な金利上昇を発表した数日後に行われました。そして、エルドアン大統領は今回、低金利を主張する与党議員のシャハップ・カヴチョール氏を起用したのでした。 ドバイにあるMUFG銀行の新興市場調査部長であるEhsan Khoman氏は、「アーバルl氏のリーダーシップと中央銀行の慎重な措置は、リラとトルコの資産に対する信頼を回復する上で『 極めて重要な役割』を果たした」と述べていました。 キャピタル・エコノミクス社のアナリスト、Jason Tuvey氏は、「トルコが 厄介な国際収支危機に向かう可能性が非常に高くなった」と最新のレポートで記載しています。 トルコのリラが下落したこと、そしてドイツのCovid-19の感染拡大によるロックダウン延長への懸念もあり、欧州の株式は先週の1年ぶりの高値から月曜日の朝には下落していました。 しかし、欧州連合(EU)が中国(北西部の新疆ウイグル自治区)に対する人権侵害を理由に中国を制裁することで合意したにもかかわらず、欧州全般の株式指数であるStoxx600は昼すぎまでに0.5%の下げ幅を縮小していました。 一方、欧米の長期金利は低下傾向にあり、米国の10年物国債金利は金曜日の14ヶ月ぶりの高水準から本日は1.68%まで下げていました。 この間週末に、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「 必要な限り」金融刺激策を提供すると語っていました。 そして、「パンデミックの後退に伴い、米国経済は2021年に回復に向かう」とリッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁も述べたものの、「それは物価を押し上げるだろうが、これが望まないインフレをもたらすという兆候はまだない。」と述べていました。 パウエル氏は本日、BIS会議で講演するほか、火曜日には下院金融サービス委員会、水曜日には上院銀行委員会での証言を予定しています。 月曜日の価格下落に先立ち、金曜日に金を裏付けとするETFの最大規模のSPDRゴールドトラスト(NYSEArca: GLD)と、第2規模のiShareゴールド(NYSEArca: IAU)の両方が残高を増加させ、投資家の長期の資金の流出を止めていました。 しかし、銀ETFの最大銘柄iShareシルバー(NYSEArca: SLV)は、金曜日も引き続き縮小しており、6週間連続で週間の下げを記録し、1月末のレディット投稿による資金流入初日の水準へと戻していました。 またコメックスの最新データによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジをかけた投機家筋は、金の先物・オプションの強気ポジションを7週間ぶりに増加させ、弱気ポジションを3週間ぶりに減少させていました。 一方で、米国の規制当局であるCFTC(Commodities Futures Trading Commission)が発表したデータによると、投機家の銀に対する弱気ポジションは、レディット投稿以来最大となっていました。