金価格ディリーレポート(2021年10月25日)パウエル、イエレン、世界銀行がより長期で高いインフレを予想する中で金は1800ドルを取り戻す 2021年10月25日 月曜日 18:00 金と銀の価格は月曜日に再び上昇に転じています。 この間、パウエル米連邦準備制度理事会議長、イエレン財務長官、世界銀行がより長期に渡るインフレの可能性を認めていました。 金現物価格は本日ロンドン時間昼過ぎに0.6%上昇し、 先週金曜日に1.5ヶ月ぶりの高値1813ドルを付けた後下げた水準から再び心理的節目の1800ドル台を回復していました。 一方、銀は0.4%増の24.42ドルと、先週金同様に金曜日に上げ幅を失いながらも週間で4.3%高を記録し、5週連続の上昇から本日更に上げ幅を広げていました。 あるアナリストは、「市場に残るインフレ圧力は、今後数週間、数ヶ月の間、金と銀の根本的な サポート要因となるだろう」と述べていました。 「金と銀の最近の好調な上昇は、パウエルFRB議長のコメントを受けての突然の テーパー・タントラム(金融緩和縮小観測への落胆)に反応して、金曜日に一時的な後退をしていた。」と派生商品のプラットフォームのサクソバンクのストラテジー・チームは最新のレポートで述べていました。 パウエルFRB議長は、米国中央銀行は資産購入の削減をすぐに始めるべきだが、雇用がまだ低すぎるため、まだ金利を上げるべきではないと述べていました。 そして議長は「リスクは明らかに、より長く、より持続的なボトルネック、ひいてはより高いインフレへと向かっている」と述べ、 持続的な高インフレを認めていました。 また、先週木曜日に発表された世界銀行の展望レポートを作成した世界銀行のチーフエコノミスト兼ディレクターであるAyhan Kose氏は、「コモディティ価格の急騰は、以前に予測されていたよりも顕著であることが分かった」とより高い素材価格の高騰を認識していました。 そして、「エネルギー価格の高騰は、短期的には 世界的インフレに大きなリスクをもたらし、もし持続すれば、エネルギー輸入国の成長にも影響を与える可能性がある」と続けていました。 ブレント原油先物価格は、2018年10月以来の高値である86.43ドルを付けた後、本日前営業日比1%上昇し、バレルあたり86.34ドルとなっていました。 これは、先週金曜日の1.1%の上昇に続くものでした。 一方、米国のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物価格は、金曜日に1.5%上昇した後、本日ロンドン午前中には、2014年10月以来の高水準となる84.76ドルを記録し、やはり前日営業日比1%高のバレルあたり84.62ドルを推移していました。 イエレン財務長官は日曜日、インフレ率が許容範囲とされる2%台に戻るのは何時かという質問に対して、「12ヶ月ベースでは、これまでの経緯からも来年もインフレ率は高いままでしょう」と答えていました。 「しかし、来年の半ばから終わり、来年の後半には改善すると思います」と答えていました。米国のインフレ率は9月末時点で5.4%と、過去13年間で最も高い水準となっていました。 英国ポンド建て金価格は、ロンドン時間昼過ぎに0.6%上昇し、トロイオンスあたり1310ポンドとなりました。この間、英国では日曜日にガソリン価格が1リットルあたり142.94ポンドと史上最高値を記録していました。 ユーロ建て金価格も0.9%上昇してトロイオンスあたり1553ユーロと、先週金曜日に付けた3ヶ月ぶりの水準へと近づいていました。このより高い価格水準は、木曜日の欧州中央銀行の金融政策会合を前に、ドイツの10月のIFO企業景況感指数が6ヶ月ぶりの低水準になったことから、FX市場ではユーロが対米ドルで弱含んでいたことが要因となっていました。 一方、金の世界最大の消費者市場の中国の上海黄金交易所(SGE)の金価格は、ロンドン受け渡し金価格に対するプレミアムが0.20ドルに減少し、2ヶ月間で最小の値となっていました。先週週平均は前週の6ドルから8ドルに上昇していました。 中国では、新型コロナウィルスのデルタ種感染が全国的に拡大していることから、最も感染が広がっている地域に移動規制を行いました。 世界第5位の金消費国であるトルコでは、エルドアン大統領が週末に米国やドイツを含む10カ国の大使を追放すると警告したため、本日リラが史上最安値を記録していました。 トルコの通貨は、前週にインフレ率の上昇にもかかわらず中央銀行が主要金利を引き下げたことで、過去最安値をすでに記録していました。そこで、リラは今年に入ってから対米ドルで24%下落しています。 エルドアン大統領が外交官の追放を警告したのは、10カ国が先週、収監されている実業家で慈善家のオスマン・カバラ氏の釈放を求める共同宣言を発表したことが発端となっていました。