日本人と金保有
初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」において、日本人と金保有について歴史的背景も含めて解説したものを、3週にわたってお届けします。なお、この記事は先サイトに、今年1月27日に掲載されたものです。

ユーロ圏の景気後退が影を落としているのでしょう、米国の景気回復がなかなか政府の期待通りに進まず、ついに金融当局が痺れを切らし、現在の金融緩和政策を、2014年末まで延長するとの声明を発表しました。これにより金融市場に安堵感(?)が漂い始めた模様で、ふたたびマネーがリスク資産に向い始めました。それに伴って金価格も一晩で50ドル以上急騰しました。
とはいえ、3月に大量の国債償還を抱えるギリシャをはじめ、南欧の債務不安が収まった訳ではありませんから、投機筋もしばらく慎重な姿勢を崩すことはないでしょう。
さて、そんな短期的な相場の話などはこれくらいにして、これから二回か三回にわたって妄想的な話をします。眉に唾でも付けながら、ゆるゆるお付き合いください。
民放のTV番組欄から時代劇のタイトルが姿を消しましたね。時代劇といえば、いまやNHKの大河ドラマくらいで、水戸のご老公の姿も、鬼平の姿も、見かけなくなりました。きっと残念に感じている人は多いだろうと思います。(一部の時代劇専門チャンネルは別ですよ、もちろん。)
常識的に考えれば、人口の高齢化が進むほどに、時代劇のニーズは高まるものじゃないかと思うのですが、(実際、これは世界的な現象のようですが、)それはあるいはこちらの勝手な思い込みに過ぎず、時代劇の人気に陰りが出ているかも知れません…。いや、時代劇は意外に制作費がかさむ(?)ことから、民放サイドが敬遠していることも考えられます。地デジ移行の投資が重荷になっているとも聞きますし、広告収入の減少に喘いでいるとも聞きますからね。
ま、そんな時代劇が減少した理由の詮索もさておき、その時代劇に頻繁に登場する小道具に、小判だとか二分金だとかいった「金貨」があります。江戸の庶民が小判を手にしていたかどうかは分かりませんが、「東の金使い、西の銀使い」という言葉があるくらいですから、金や銀が市中に流通していたことは間違いないはずで、江戸時代に金や銀は馴染み深いものであったと思われます。
それが、どうも明治以降に様子が変わってきます。時代を経るにしたがって、金や銀を保有することは、あまり褒められたことではなく、卑しいこととされます。馴染み深かったものが、卑しいものに転化してしまう。人類の歴史はマジカルな事象に充ち満ちています。
さまざまな古典落語などを通じて知りうるかぎりでは、宵越しの銭を持たないのが江戸庶民の習いだったようですが、それはあくまでも貯蓄を好まなかったということで。もっといえば貯蓄がなくとも支え合って生きていけるような、そんな古典的な環境にあったから、ということでしょう。金や銀がとくべつに敬遠されたということではありません。
それにもかかわらず、時代とともに金銀は貶められた。どうしてそうなったのか不思議じゃありませんか?
金読本の読者からのメールでも知りましたが、地方都市などでは、金を買うという行為そのものが、いまだに白い目で見られることがあるそうです。異様なほどの固定観念が染み付いているようです。
これについて、読者の皆さんはどう思われますか?昔、金や銀を通貨として使っていた庶民が、いつのまにか金や銀の保有に後ろめたさを感じるようになる奇妙。
ま、あまり先を急がず、ゆっくり考えてみましょう。読者の皆さんも、あれこれ理由を考えてみてくださいな。どんな答が正解なんてことはなくて、あれやこれや、いろいろ想像することに愉しみがあるのですから。
では、今回はここまで。この稿は来週に続きます。
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