マーケットと国民の戦い
初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」で、金融危機後、欧州で引き起こっている債務危機がきっかけとなり、表面化している問題も含めて、金の位置づけをここで解説しています。

欧米で長く続いた資産バブル崩壊のキッカケとなったのは、米国サブプライム・ローンの頓挫でした。あげくに大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻、強烈な信用収縮の津波が世界に伝播し、実体経済に深刻な影響が出たことは記憶に新しいところです。
とくに欧州経済はいまだ資産バブル崩壊のプロセスにあり、(まさに90年代の日本が体験したことですが、)いまの困難な状況を打破することは容易ではありません。
さてさて、いまなにかと話題のスペインですが、この国の平均失業率は25%に近づきつつあるといいます。四人に一人が職を失っている訳で、深刻な事態です。それどころか、国の将来を担う若者層にいたっては、二人に一人が失業状態を余儀なくされており、社会的な混乱必至の状況にあると見て良いでしょう。
マーケットから求められている緊縮財政を進めれば進めるほど国内の失業率は高まり、社会不安はますます増大せざるを得ません。さりとて緊縮財政を進めなければ格下げの憂き目に会い、国債の金利が上昇し資金調達がますます困難となります。
けれど、けっきょくのところ国民の総意に背を向けて民主政治は成り立たないはずですから、このまま緊縮財政を継続することは無理な話でしょう。これは欧州各国に共通した現象だろうと思われます。
問題をさらにややこしくしているのが移民の存在です。
人口の高齢化は、日本の専売特許ではなく欧米とて同様で、その対策の一つとして進められて来たのが移民政策です。経済効率から見れば移民という安い労働力は魅力ですし、少子高齢化対策として移民政策は正しいと言えるでしょう。
しかし、それはあくまでも数字上の話であって、人間社会はそんな単純なものではなさそうです。
フランス、オランダ、フィンランド、英国で、極右政党が大躍進しているというニュースをたびたび耳にします。これが若者層の失業率上昇と無関係のはずはなく、若者の怒りは、マーケットと移民に向けられつつあります。
金融マーケットというものは国境を嫌います。欧州も理想を掲げて国境を無くす方向に動いてきました。金融自由化も、移民政策も同じベクトルにありました。けれど長く続いた資産バブルの崩壊をきっかけに、歴史の針は高速回転で逆戻りを始めたようです。
「規制緩和=自由化」から、「規制強化」の流れへ。金がここに至っても輝き続けているのは、「自由化」が壁に当たったことの証明とも言えそうです。
今回はここまで。では、また来週お会いしましょう。
(追記)
欧州の移民問題に興味を持たれた向きは、街の実態や民衆の意識を明晰に描き出している映画作品に触れておくのも一興だろうと思います。BS海外ニュース、海外のサイトだけでは、実感として分かりにくいところがありますから。
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