ニュースレター(9月25日)1146.65ドル 中国懸念、独VWスキャンダルで上げた金相場は、イエレンFRB議長の年内利上げのコメントで下げる
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1146.65ドルと、前週同価格から0.4%上げています。
週明け月曜日は、米連邦準備制度理事会の各地の総裁のコメントが伝わる中、金相場は下げることとなりました。
それは、サンフランシスコ連銀総裁のジョン・ウィリアムズ氏が、週末の講演で語った「先週の利上げ無しの決定は、かろうじて成された」というものや、FOMCの投票権は無いものの、セントルイス連銀総裁のジェームズ・バラード氏がCNBCのインタビューで「利上げするに十分な理由が揃いつつある」といったものでした。
翌火曜日は、フォルクスワーゲンの排ガス規制逃れ問題が発覚する中、欧米株価が下げ、ディーゼルエンジンの排ガス浄化装置に使われるプラチナは、同日3.4%下げ、過去6年半で最も低い水準の トロイオンスあたり942ドルを推移するなど、コモディティ全般が下げることとなりました。
これを受けて、金相場は、プラチナや銀程ではないものの、下落することとなりました。
水曜日は、同日発表された中国製造業PMIが、金融危機最中の2009年初頭以来の速いペースで縮小していたことから、中国経済への懸念の高まりもあり、金相場は上昇することとなりました。
木曜日は、今週発覚したフォルクスワーゲンの排ガス規制逃れが、米国のみならずヨーロッパでも行われていたことが伝えられ、BMWなど他の企業へも疑惑が広がる中、欧米での株安が進み、金相場は上昇することとなりました。
その後、英国時間昼過ぎに発表された米国耐久財受注も-2と、今年1月以来の低い水準となりドル安が進む中で、金相場はトロイオンスあたり1155ドルまで15ドルほど上昇をすることとなりました。
しかし、ロンドン時間夜に行われたイエレンFRB議長が講演で、「経済にサプライズがあれば、FOMCの見方に変化も」と述べたものの、「今年中に利上げが行われるのが適切」と言及したことから、その後金相場は押し下げられることとなりました。
本日金曜日は、昨夜のイエレンFRB議長のコメントもあり、欧米株価が昨日の下げの反発などから上昇する中、金相場はロンドン午前中に緩やかに下げていました。しかし、その後米株式市場が下げに転じると、金相場は多少戻すこととなりました。
その他の市場のニュース
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ロシアの中央銀行が今年8月に毎日1トンの金を金準備に積みますという、過去6ヶ月でも最大の金の量を購入していたこと。 -
中国の香港からの金輸入が、8月に過去3ヶ月で最も高い水準の59.319トンとなったこと。 -
ブルームバーグがロンドンでの金取引において、銀行が清算方法の変更について協議していることが伝えられたこと。
ブリオンボールトニュース
FOMC後やフォルクスワーゲンのスキャンダル発覚後の相場の動きを分析する、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが、今週も主要経済メディアで取り上げられています。
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米経済サイトMarketWatch 「金が3セッションぶりに上昇」
この記事では、エィドリアンの「トレーダーや市場参加者は、未だに米連邦準備制度理事会が利上げを行うかどうかに注目をしている。しかし、(水曜日)の中 国の良好ではないデータはイエレンFRB議長の利上げを遅延させて主な理由に正に見合うものだった。」というコメントが取り上げられています。
ここでエィドリアンは、「プラチナ価格の下げは、各国政府の排ガス規制が厳しくなる中、プラチナが使われるディーゼルエンジンの排気ガス浄化触媒装置が、 その条件を(技術的に)見合うものでないことを示すものだ。もし、この考えが正しければ、パラジウムの需要が恩恵を受け、価格に反映されなくとも、ガソリン 車がこの需要の隙間を満たすであろう。」とコメントしています。
また、ブリオンボールトのアンドロイドアプリで、個人投資家が50万ポンド(9250万円)相当の金地金を購入したことが、主要メディアで伝えられています。
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フィナンシャル・タイムズの資産運用セクション: 「個人投資家が50万ポンドの金購入をスマートフォンで行う」 -
英経済サイトCitywire.co.uk: 「金のディーラーが記録的取引を目撃」 -
ハフポスト: 「スマートフォンのアプリが50万ポンドの金の取引を可能とする」
ロンドン便り
今週のロンドン便りでは、英国で行われているラグビーワールドカップの日本チームの活躍とそれを伝える英国メディアについてお伝えしましょう。
当然、土曜日に行われた南アフリカ戦での勝利は、歴史的な勝利として、主要メディアのトップニュースとして伝えられていました。
私自身も、日本チームの素晴らしい戦いぶりを称えるメールやテキストを英国の友人達から即座に受け取るなど、英国に住む日本人も誇らしく感じる試合でした。
そのため、今週水曜日のスコットランド戦では、多くの英国人の方々も(スコットランドには申し訳ないけれど)日本を応援すると公言しているほどでした。実際、試合開始の3時間前から「ジャパンコール」が飛び交い、同日の視聴者数は2000万人を超える記録的なものとなったのこと。
残念ながら、スコッロランドには45-10で負けましたが、英国メディアでは日本の健闘が高く評価されていました。
日本チームは南アフリカ戦からスコットランド戦まで3日に対し、スコットランドチームにとっては日本との試合が初戦であっとことからも、BBCでは、スコットランドのリードが広がった試合終盤に「4日前、桜と白のユニフォームに身を包んだ男たちは歴史をつくり、南アフリカを倒すための蓄えを掘り起こした。試合終盤になって彼らが疲れているのも不思議はないということなのかもしれない」とコメントしていたことも伝えられています。
また「ガーディアン」紙は、「前半がほぼ同レベルであったのに対し、後半に5つのトライが決まったことからも、フィットネス上で困難だったのであろう」とし、「試合日程が日本に影響を与えたということを考慮しなければならない。もしあと数日休みと準備の時間があれば、(試合結果は)大分違ったものになった可能性がある」と伝えていました。
ラグビーの発祥地英国の人々を魅了した日本チームの今後の活躍を、ここロンドンでしっかり見守りたいと思います。