ニュースレター(7月14日)1230.30ドル:イエレンFRB議長の議会証言でのハト派的コメントと予想を下回る米経済指標で上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1230.30ドルと前週同価格から1.2% 上昇しています。週間ベースでは2週間ぶりの上げとなります。
月曜日金相場はトロイオンスあたり1206ドルと前週の下げ基調を受け継いで下げていましたが、その後1214ドルまで戻して終えることとなりました。
同日、米株価は上昇し、ドルインデックスも0.1%ながら上昇していましたが、長期金利は2ベーシスポイント下げていました。
前週は米雇用統計など重要指標が続きましたが、同日は特に重要指標はなく、今週水曜日と木曜日にイエレンFRB議長の議会証言、金曜日に米消費者物価指数が発表されることから様子見の 狭いレンジでの取引となっていました。
火曜日金相場は、ロンドン時間午前中に前日の上げ幅を失いつつありましたが、その後再び上げ基調となり、トロイオンスあたり1217ドルまで上昇しました。
これは、「ロシアゲート」に絡みトランプ大統領の長男への疑惑が浮上したことと、FOMCのメンバーのブレイナードFRB理事のハト派的コメントが伝えられたことが要因となりました。
水曜日金相場はトロイオンス1225ドルと、今週の3ヶ月半ぶりの低値から1.6%上昇することとなりました。
これは、同日行われたイエレンFRB議長の議会証言でインフレが目標に長期的に至っていないことに言及したことから、金融引締めを急ぐことはないということが示唆されたとの解釈で、ドルが弱含み、長期金利が下げたことからです。
しかし、「米経済が概ね予想通りに拡大を続ければ、FRBの資産規模縮小は今年中に始まるだろう」と、これまでのスタンスを維持するコメントも伝えられていました。
木曜日金相場は前日のイエレンFRB 議長の議会証言での金融引締めへの慎重なハト派的コメントからの上げ基調を、米長期金利が多少ながら上昇する中、ロンドン時間の午後に失い、トロイオンスあたり1217ドルへと下げることとなりました。
同日のイエレンFRB議長の議会証言は、「保有資産の縮小はゆっくり、段階的に実行する計画」と前日同様のスタンスを示す中、「Q2の成長、前期比で著しく高くなると予想」 と経済への楽観的なコメントが出ていました。
金曜日金相場は市場注目の米消費者物価指数が前年比1.6%と予想の1.7%と前回の1.9%を下回り、小売売上高も2ヶ月連続でマイナス数値で予想を下回ったことから、ドルが弱含み長期金利が下げル中、トロイオンスあたり1230ドルへと上昇することとなりました。
その他の市場のニュース
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先週月曜日の金先物・オプションのネットロングポジションは、前週比50%減で、4週連続の減少となっていたこと。このネットロングポジションは年初来の低水準。そして、ショートポジションは前週比31%増加し、2016年1月以来の高さとなっていたこと。 -
コメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、ロングポジションが減少し、ショートポジションがほぼ同レベルに増加する中、金よりも更に早いスピードで前週比85%減少するなど、ネットショートポジションへと近づいていたこと。 -
金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアはその残高を今週 6.5トン減らし、829トンと2月初旬の低い水準へと下げていたこと。 -
銀のLBMA価格の管理運営を、金のLBMA価格同様にICEが行うことになったことをLBMAが発表したこと。LBMA銀価格はCMEトムプソン・ロイターが管理運営を行っていましたが、今年3月に撤退を表明していました。
ブリオンボールトニュース
ブリオンボールトの顧客が過去2週間に記録的な量の金を購入したことが、英国主要経済紙City AMで取り上げられました。この記事では、リサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュのコメントも取り上げられています。
そのコメントは、「金融危機は10年前の7月に始まった。そして、貴金属投資が資産を保全するためにより一般的になっている。」そして「この一月程欧州中央銀行とイングランド銀行が米国の中央銀行と共にゼロ金利から利上げを行うという観測が急速に広がっている。しかし、もしこの観測が後退した場合、貴金属相場がこの観測が広がることで下げたように、瞬く間に上昇することだろう。」というものです。
CNBCの「金は買い時なのか」という記事でブリオンボールトのリサーチ・ダィレクターのエィドリアン・アッシュの「金融システムの保険となる金を安く買う機会だ」というコメントが取り上げられています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週も日本からお届けしています。そこで今週までロンドン便りをお休みさせていただきます。