【金投資家インデックス】金投資がコロナ危機以来の速いペースで急増 木曜日, 4/07/2022 16:57 しかし、ウクライナ戦争と高インフレは世界金融危機やパンデミックの需要にまだ及びません。 先月は新たな金への投資が、史上最高値に近い価格で利益確定の売却が進んだにも関わらず、 コロナ危機が発生して以来の速いペースで急増していたことが明らかとなりました。 しかし、高インフレとウクライナ危機を背景に株式市場が下落する中、金は再び危機時の本領を発揮しましたが、投資需要は、コロナ危機と世界金融危機の金への資金流入のペースには至っていません。 実際、3月には金の利益確定の売却が加速し、世界最大の貴金属現物取引のオンラインプラットフォームを提供しているブリオンボールトでは、個人投資家がほぼ記録的な水準の売却を行っていました。 しかし、インフレの悪化とロシアのウクライナ侵攻を背景に、価格が世界の主要通貨建てで史上最高値またはそれに近い水準に達したため、新規購入者の急増に牽引され、投資家の利益確定の売却を上回る需要の急増を見せていました。 現在、175カ国から10万人以上のユーザーが40億ドル(4,830億円)の貴金属を保管しているブリオンボールトでは、安全に保険をかけられて保管された金地金の購入を選択した顧客数は、3月に54.3%増加し、2年前にコロナ危機が始まって以来最も速いペースで前月比増加し、昨年6月以来最も多い水準に至っていました。 一方、売り手の数は22.8%増で、世界的な金融危機による金の強気相場のピークであった2011年8月以来の高い数値となっていました。 その結果、現物金地金に対する個人投資家の投資傾向を測るブリオンボールト独自の指標である金投資家インデックスは、2月の32ヶ月ぶりの低水準から2.0ポイント上昇し、2021年12月以来の高い数値となり、月間では9ヶ月ぶりの急騰となる53.9となっていました。 金投資家インデックスは、月間に購入を上回る売却を行ったネット売却者数が売却量を上回る購入をしたネット購入者数と完全に一致した場合、50.0となります。2020年3月のコロナ危機の際に65.9で高値を付け、2011年8月に71.7という史上最高値を記録しています。 先月の金価格の急騰の後、ロシアの侵攻に対する金融市場の当初のショックが後退し、その価格は調整されました。そこで、金価格の下落は、ディフェンシブ資産でポートフォリオを分散させたいと考える既存および新規の投資家の新たな需要を呼び起こしました。 2022年の最初の3ヶ月間で、世界の株式がMSCIワールドインデックスで5.5%下落したのに対し、金はドル建てで7.5%上昇していました。 3月8日にドル建てで取引される金は、2020年夏の史上最高値を5ドル下回るトロイオンスあたり2070ドルでピークを迎え、英国ポンド建て価格は1580ポンド、ユーロ建て価格は1900ユーロ、日本円ではgあたりで7757円と、他のほとんどの主要通貨で史上最高値を更新し、その後下落して月平均価格は1950ドルを下回ることになりました。 ブリオンボールトでは、新たに口座を開設し貴金属を購入した投資家の数は、2020年3月以来の最も速いペースで上昇して2月の5ヶ月の最低値から76.5%増となり、10ヶ月ぶりの高さに跳ね上がっていました。 この動きは、英国の新規ユーザーが56.8%増、米国の新規ユーザーが142.1%増、フランスの新規ユーザーが108%増と急増したことが牽引していました。 ブリオンボールトの10大市場の中で、新規関心度は、オーストリアで最もパーセンテージベースにおいて上昇し、225.0%と急増していました。 ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、そして最も人気のあるチューリッヒで 保管されているブリオンボールトの顧客の金地金は、2月の10ヶ月ぶりの低水準から0.1%増加し、3月には47.0トンとなり、過去6ヶ月間で減少した721キロを53キロ戻していました。 この間、銀保管量は過去6ヶ月で3ヶ月減少するなど、大量の売却が行われていました。これは、ユーロ圏の投資家が、銀価格が2013年1月以来最も高い月間平均価格であるトロイオンスあたり22.91ユーロを付けたことで、利益確定の売却を進めたことが要因となっていました。 また、3月の銀価格は、ドル建てでは7.6%上昇し8ヶ月ぶりの高値となる25.24ドル、英ポンド建てでは10.5%上昇し9ヶ月ぶりの高値となる19.16ポンドとなっていました。 ブリオンボールトの顧客の銀保管量は、前月比1.1%減少し、3月は1214トンとなり、昨年5月以来の低い水準となっていました。 銀投資家インデックスは、ネット購入者数が2月の37ヶ月ぶりの低水準から52.1%増加し、8月以来の水準となった一方で、ネット売却者数は46.0%増加し、13ヶ月ぶりの高い水準となり、わずか0.5ポイント上昇の51.2となっていました。 これは何を意味するのでしょうか。 高インフレとウクライナ危機が見出しを飾る中で、貴金属への新たな関心は、パンデミック開始以来最も速いペースで急上昇していましたが、現段階ではパニック的な購入は起きていません。 既存投資家の利益確定とポートフォリオのリバランスが行われる中で、市場は全体的にバランスが取れていると言えるでしょう。