【金投資家インデックス】暗号資産が急落する中で新たな金への投資倍増 2021年6月3日 木曜日 19:53 暗号資産は2021年に金に取って代わるものではないようです。 金に投資するか、ビットコインを購入するかについての議論は、5月に非常に明快な答えが出されました。 先月、金価格が上昇し、公式データではインフレ率が数十年ぶりの高さとなる中で、金投資の需要が急増しました。 この間に、金やインフレとは異なり、暗号資産は対照的に急落し、ビットコインの価格は3分の1近くを失い、ドージコインは5月初旬に記録した135%の急騰分も失いました。 この急落と時を同じくして、金価格が10ヶ月ぶりに急上昇し、ロンドンの貴金属専門市場ではドル建てで7.5%上昇してトロイオンスあたり1899ドルと、2020年7月と8月に次いで過去3番目に高い月間の終値を記録していました。 しかしながら、これらの暗号資産の一つは、年初価格から4倍であり、金はその水準で上昇していません。 また、先月の ビットコインから流出した資金が金へと向かったことは確かではなく、J.P.モルガンのアナリストが 新年に金からビットコインへ資金が向かうと言っていた時よりも明確ではありません。しかし、この春の動きは、暗号資産のボラティリティーに対する金への根強い需要を浮き彫りにすることとなりました。 インフレに関しては、国債保有者に提供される リターンが1975年以来最悪のマイナスの実質金利にまで下げていることからも、暗号資産は法定通貨に対する何らかのヘッジ的役割があるごとく宣伝されることが多いようです。 しかし、ビットコインの投資資産としての歴史の浅さと限られた供給量は、長期的な資産保全の役割として、時代を超越し世界的に証明された金現物に対抗するには十分ではありません。 顧客が月間で金を売却した額を差し引いた金地金の純粋な投資額は、5月にブリオンボールトでほぼ倍増し、4月から97.5%増加し、過去4ヶ月で最も多くなっていました。 この237kgの金地金が追加購入、保管されたことにより、ブリオンボールトの顧客が所有する金地金の総量は46.9トンとなり、創業以来16年間で最高値を記録することとなりました。 これに顧客が保有する銀やプラチナを加えると、月末時点で世界175カ国の95,000人以上のユーザーが保管する地金の評価額は39億ドル(4390億円)相当となりました。 しかしながら、この水準は決してゴールドラッシュと言えるものではありません。 ブリオンボールトでは、5月に金地金を購入する人の数は、4月の15ヶ月ぶりの低水準から11.1%増加していました。 しかし、既存の投資家が利益確定を行ったために、売却者数は4月の6ヶ月間の最低数値から26.4%増加していました。 このために、個人投資家の動向を示すブリオンボールト独自の指標である金投資家インデックスは、55.4と前月比ほぼ変わらずに推移していました。 金投資家インデックスは、月間で金購入量が売却量を上回ったネット購入者数と、売却量が購入量を上回ったネット売却者数のバランスを表すものです。そして、この数値が50.0であれば、購入者数と売却者数のバランスが取れていることを意味します。 このインデックスが開始された2009年10月からの平均値は55.0となっています。そして、過去22ヶ月では、世界的なコロナ危機が訪れる直前の2020年1月に53.5とこの平均値を下回った以外は常にこの水準を上回っています。 それでは、今月の金投資家インデックスの数値は何を教えているのでしょうか。 それは、暗号資産が現在または将来的にどのような役割を果たすとしても、ポートフォリオ全体のリスクを減らしたい貯蓄家や投資家の分散ツールとして、未だ金に取って代わるものでは無いということでしょう。 貴金属はボラティリティーと無縁ではありませんが、金が1週間で価格を半分にしたことはありません。長期的には、株式市場のようなリスク資産が価値を失ったときに、金は繰り返し上昇しています。 心理学的には、金はすべての取引資産の中で最も物理的なものを提供していることからも、株式市場が揺れ動き、暗号資産が暴落する中で、強い需要を見せていいるのです。