ニュースレター(2025年12月26日)貴金属相場、年末にかけ最高値更新
英国は木曜日と金曜日が祝日であったために遅れましたが、今週のニュースレターをお届けします。
来週のニュースレターも正月休みであることからも若干遅れる可能性があることをご理解ください。
週間市場ウォッチ
今週金曜日の弊社チャート上のLBMA価格がオークションで決まる時間の貴金属価格は、前週のLBMA価格と比較して以下の通りです。

*金は午後3時の弊社チャート価格、銀は午後12時、プラチナとパラジウムは午後2時の価格。
**日本円価格はLBMA価格として発表されないために、弊社チャート上の金曜日午後3時の価格。
- 金:ドル建て価格は週間の上昇で、史上最高値。
- 銀:5週連続で週間で上昇し、史上最高値。
- プラチナ:5週連続の週間の上昇で、史上最高値。
- パラジウム:4週連続の週間の上昇で、2022年以来の高値。
貴金属市場の動向(週間)
今週の貴金属市場は、欧米がクリスマス休暇に入り商いが薄い中、金・銀・プラチナが相次いで史上最高値を更新し、パラジウムも2022年以来の高値を記録しました。
背景には、前週に発表された米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことと、米労働市場への懸念もあり、米連邦準備制度理事会(FRB)による来年の追加利下げ観測が強まったことに加え、米国によるベネズエラへの強硬姿勢を受けた地政学リスクの高まりが挙げられます。
なお、欧米がクリスマス休暇で市場の動きが鈍る中、中国の上海黄金交易所における銀のプレミアムは、今週ロンドン価格をトロイオンスあたり5ドル上回る水準となり、記録的な需要の強さを示唆しています。また、広州先物取引所(GFX)におけるプラチナおよびパラジウムの取引高も引き続き高水準で推移しており、これらの価格動向の背景にも中国の存在があることが示唆されています。
今年も残すところあと3日となりましたが、今週金曜日のLBMA価格が決まる時間の価格を基準とした年初来騰落率は以下の通りです。
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金:+74.2%(1979年以来の上げ幅)
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銀:+156.6%(1979年以来の上げ幅)
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プラチナ:+163.0%(1990年の統計開始以来最大)
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パラジウム:+105.0%(2009年以来の上げ幅)
今週のチャートでは、これら貴金属の年間上昇率を示しています。

今週の貴金属相場の動き(日次)
月曜日
金相場は週明け早朝、トロイオンスあたり4,442ドル、銀は69.46ドルと、ともに史上最高値を更新しました。日本円建てを含む主要通貨建てでも高値を記録しています。
背景には、前週に発表された米CPIが市場予想を下回ったことに加え、米雇用統計を受けた労働市場への懸念から、来年の利下げ観測が強まったことがあります。また、前週末にかけて強まった米国の対ベネズエラ強硬姿勢も意識されました。
火曜日
金相場はロンドン指標でトロイオンスあたり4,449ドルと、前日に続き史上最高値を更新しました。銀も69.74ドルまで上昇し、再び過去最高値を記録しました。
その後、金は4,500ドル、銀は70ドルという心理的節目を突破し、一段高となりました。欧米がクリスマス休暇入りし流動性が低下する中、地政学リスクへの警戒や米金融緩和観測が引き続き相場を下支えしました。
前日に発表された米GDPは市場予想を上回ったものの、米株式市場が最高値を更新する中で、金・銀相場も堅調さを維持しました。
また、プラチナも2,300ドルを突破し史上最高値を更新、年初来上昇率は160%に達し、統計開始以来最大の上昇率となりました。
水曜日
金・銀相場は前日までに、金が0.6%、銀が6%上昇していましたが、欧米のクリスマス休暇を前に利益確定の動きが強まり、金は4,465ドル、銀は71.84ドルと前日比でやや下落しました。
英国では木曜日がクリスマス、金曜日がボクシング・デーであり、米国も翌日は祝日となることから、市場では積極的な新規材料に乏しく、ポジション調整が進みました。
ETF動向では、金ETF最大銘柄のSPDRゴールド・シェアの保有残高は前日比横ばいとなった一方、銀ETF最大のiSharesシルバー・トラストは、22日に533トンと2021年2月の「シルバースクイーズ」以来となる大幅増加を記録した後、95トン減少するなど、やや調整の動きが見られました。
金曜日
英国が祝日の中、金・銀・プラチナ・パラジウムはいずれも上昇しました。
金はトロイオンスあたり4,549ドル、銀は79.36ドルとともに史上最高値を更新。プラチナも2,473ドルと過去最高値を記録し、パラジウムは1,946ドルと水曜日の1,963ドルには届かなかったものの、2022年11月以来の高水準となりました。
このように、年末にかけて「サンタラリー」とも言える展開となり、上昇が上昇を呼ぶ相場環境が続いています。

その他の市場のニュ―ス
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コメックス(COMEX)のデータは、米政府機関の閉鎖で遅れていたものの、12月16日までのデータが発表され、貴金属価格が再度大きく上昇を初めた際、金は4週連続でネットロングを増加させて9月30日までの週以来の高さで、銀は2週ぶりにネットロングを減少させ、プラチナはネットロングを減少させて5月20日以来の低さ、パラジウムは2022年10月18日以来のネットロングへ12月9日に転換して、翌週もネットロングを増加させていたこと。
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金曜日までのコメックスの取引量においては、貴金属全てが大きく上昇し、金と銀とプラチナが史上最高値を更新し、パラジウムも2022年以来の高値をつけ、金が週間で前週比5.3%増加させて3週ぶりの高さ、銀は10.1%増の10月17日の週以来の高さ、プラチナは49.3%増で、2020年6月に記録をつけ始めて以来の高さ、パラジウムは、45.1%増で2024年2月23日の週以来の高さとなっていたこと。
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金ETFの最大銘柄であるSPDRゴールド・シェアの残高は、今週木曜日までに18.59トン(1.76%)増で1071.13トンと週間の増加で、2022年6月22日以来の高さとなっていたこと。
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銀ETFの最大銘柄であるiShareシルバーの残高は、今週324.32トン(2.05%)増の16,390.56トンで、2022年7月以来の高い水準で、週間の増加。
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金銀比価(LBMA価格ベース)は、今週63台半ばで始まり、24日は61台後半と2014年以来の低さへ下げていたこと。2024年平均は84.75、2023年は83.27、5年平均は82.44。値が高いと銀が割安、低いと割安感が薄れていることを示します。
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上海黄金交易所(SGE)とロンドン金価格の差は、10月28日以来継続的にプレミアムであったものの、11月13日にディスカウントへ転換し、週間の平均は、前週の26.32ドルのディスカウントから、21.13ドルへと3週ぶりの低さへ下げていたこと。2024年平均は15.15ドルのプレミアム、2023年は29ドル、2022年は11ドル。需要増に加え、中国中銀の輸入許可制限も背景にあります。過去5年平均は6.9ドルのプレミアム。
来週の主要イベント及び主要経済指標
今週は欧米がクリスマス休暇に入り、主要な経済指標の発表がほとんどない中、材料難及び薄商いとなりましたが、貴金属価格は大きく上昇しました。
来週は1日がほぼ世界各国で祝日となり、2日も休日の国が多いため、発表される指標は限定的です。その中では、木曜日の米新規失業保険申請件数や、金曜日に発表される主要国の製造業PMIが注目材料となります。
その他、主要経済指標の発表スケジュールの詳細は、主要経済指標(2025年12月29日~2026年1月2日)をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
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主要経済指標(2025年12月22日~26日)今週のの結果をまとめています。
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主要経済指標(2025年12月29日~2026年1月2日)来週の予定をまとめています。
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金価格ディリーレポート(2025年12月22日)金は4,400ドル、銀は69ドルに到達するも、コメックスの強気勢は不在のまま
なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でも配信中です。ぜひご視聴、ご登録ください。
ロンドン便り
今週はクリスマス休暇、来週からは日本へ入りますので、ロンドン便りは1月23日の週までお休みさせていただきます。
本年もニュースレターを購読いただきありがとうございました。







