ニュースレター(2025年10月31日)金、調整を経て4,000ドルを回復
今週と来週は休暇をいただいています。そのために、遅れましたがニュースレターをお届けします。
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA貴金属価格は、前週のLBMA価格と比較して以下の通りです。

 
*日本円価格はLBMA価格として発表されないために、弊社チャート上の金曜日午後3時の価格。
- 金:ドル建て価格は2週連続の週間の下げで、金曜日価格では2週ぶりの低値。
 - 銀:前週の4週ぶりの週間の下げから週間の上昇。
 - プラチナ:2週連続の週間の下落で、金曜日価格では9月26日以来の低値。
 - パラジウム:週間の上昇。
 
貴金属市場の動向(週間)
今週の貴金属相場は、9月以来急激に上昇していたことから、前週に始まった調整の動きが週前半も続き、後半には金とプラチナが下げ幅を若干取り戻しました。金は心理的節目であるトロイオンスあたり4,000ドルを回復して週を終え、銀とパラジウムは上昇に転じて週を終えました。
月間の動きを見ると、すべての貴金属(ドル建て)が下記のように上昇を記録しています。
-  
金:+4.9%(5か月連続の上昇)
 -  
銀:+6.0%(6か月連続の上昇)
 -  
プラチナ:+1.2%(2か月連続の上昇)
 -  
パラジウム:+18.6%(2か月連続の上昇)
 
その結果、年初来の上げ幅は、金が+53.7%、銀が+69.4%、プラチナが+73.9%、パラジウムが+61.7%と、引き続き高い水準となっています。今週は、貴金属の年初来の価格推移を%で示すチャートをお届けします。

 
今週の貴金属相場の動き(日次)
月曜日
金相場は前週の下落傾向を引き継ぎ、一時トロイオンスあたり3,972ドルまで下落し、4,000ドルを割ったものの、4,006ドルまで戻してロンドン時間を終えていました。
今回の下落は健全な調整と分析されていますが、週末に発表された米中貿易協議の進展ニュースが、安全資産としての金の需要をやや抑えていました。
火曜日
金相場はこの日も調整の動きが続き、一時トロイオンスあたり3,886ドルとほぼ3週ぶりの低値をつけた後、3,975ドルまで戻していました。
銀は金よりもボラティリティが高い傾向があり、今回もトロイオンスあたり45.56ドルと約5週ぶりの安値をつけた後、47.32ドルまで戻していました。
今週京都で開催され、この日に閉幕したロンドン貴金属市場協会(LBMA)年次総会では、恒例の「次回年次会議(2026年10月)時の価格予想」が下記のように発表されていました。
• 金:4,980.30ドル
• 銀:59.20ドル
• プラチナ:1,815.50ドル
• パラジウム:1,709.10ドル
水曜日
金相場は、市場の注目が集まる米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、これまでの調整分を取り戻す形でトロイオンスあたり4,029ドルまで上昇しました。
発表後はタカ派的な内容を受け、一時3,918ドルまで下落したものの、その後3,950ドルまで値を戻していました。
FOMCでは予想通り0.25%の利下げが実施されましたが、記者会見でパウエルFRB議長が「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」と述べ、今後の追加利下げに慎重な姿勢を示したことから、ほぼ確実視されていた来月の利下げ観測が後退。これを受けてドルが強含み、長期金利が上昇したことで、金相場は押し下げられました。
木曜日
金相場は再びトロイオンスあたり4,000ドルの大台を試す展開となり、4,025ドルで終えていました。
前日のFOMCでの利下げと、パウエルFRB議長による市場の過度な利下げ期待をけん制する発言を受けて、一時は4,000ドルを割り込みましたが、この水準では中国の需要が強まっているようです。上海黄金交易所(SGE)のプレミアムはトロイオンスあたり約15ドルと、7月末以来の高水準に上昇。アジア時間には金価格が再び上昇していました。
一方、金のETF最大銘柄であるSPDRゴールド・シェアーズ(SPDR Gold Shares)は、前週の価格急落が始まった火曜日以降、残高を増やさず、過去7営業日の評価額の推移では過去最大の減少幅を記録しており、欧米投資家による売却が金価格の上値を抑えていたようです。
金曜日
金相場はトロイオンスあたり4,000ドルを挟んだ動きとなり、4,001ドルで週を終えました。
今週の主要国中央銀行による金融政策発表を受け、ドルインデックスはやや上昇しましたが、4,000ドルを下回ると買いが入る展開が続いていました。
また、10月20日以降増加が見られなかった金ETF最大銘柄のSPDRゴールド・シェアーズは、前日0.4%増加し、調整売りが一巡したことを示唆する動きとなりました。
さらに、中国の需要も依然として強く、上海黄金交易所(SGE)の価格はロンドン価格に対してトロイオンスあたり16ドル高と、7月1日以来の高い水準となっていました。こうした動きが金相場を下支えしていた模様です。

 
その他の市場のニュ―ス
-  
コメックス(COMEX)のデータは、米政府期間が一部閉鎖されていることから発表されていないこと。コメックスの取引量においては、貴金属全般今週価格が調整の動きを見せる中で、全ての貴金属の取引量が前週比減少。金においては10月3日までの週以来の低い水準へ下げ、銀も9月19日までの週以来の低い水準。プラチナは、8月29日までの週以来の低さ。パラジウムは、7月25日の週まで以来の低い水準へ減少。
 -  
金ETFの最大銘柄であるSPDRゴールド・シェアの残高は、今週7.70トン(0.7%)減で1039.20トンと、10月29日以来の低さへ減少し、2週連続の減少。月間では、26.32トン(2.6%)増と5ヶ月連続で月間では増加。
 -  
銀ETFの最大銘柄であるiShareシルバーの残高は、今週229.99トン(1.5%)減の15,189.82トンで、9月17日以来の低さで、2週連続の週間の減少。週間の減少量は、2月7日の週以来の大幅なもの。月間においても495.27トン(3.1%)減と7ヶ月ぶりの月間の減少。
 -  
金銀比価(LBMA価格ベース)は、今週85台前半ばで始まり、金曜日に81台後半と、10月17日以来の低さへ下げて終えていたこと。2024年平均は84.75、2023年は83.27、5年平均は82.44。値が高いと銀が割安、低いと割安感が薄れていることを示します。
 -  
金価格との差であるプラチナディスカウントは、今週2435ドルで始まり、火曜日に2364ドルと10月初旬以来の低さへ下げた後に、金曜日に2419ドルへと上昇して終えていたこと。2024年平均は1431ドル、2023年は975ドル、5年平均は968ドル。
 -  
プラチナとパラジウムの価格差は、2月6日以降パラジウムがプラチナを上回る「プレミアム」が継続。今週は173ドルで始まり、金曜日149ドルと10月21日以来の低さ下げていたこと。2024年平均は28ドルのディスカウント。2023年は371ドル、2022年は戦争影響で1153ドルのディスカウント。5年平均は835ドルのディスカウント。
 -  
上海黄金交易所(SGE)とロンドン価格の差は、今週水曜日にプレミアムへ転換し、週間の平均は、前週の3.68ドルのプレミアムから、4.59ドルのプレミアムと8月22日の週まで以来の高さとなっていたこと。2024年平均は15.15ドルのプレミアム、2023年は29ドル、2022年は11ドル。需要増に加え、中国中銀の輸入許可制限も背景にあります。過去5年平均は6.9ドルのプレミアム。
 
来週の主要イベント及び主要経済指標
今週も、米政府機関の一部閉鎖により、米国関連の経済データの発表はほぼ発表されない中、米中貿易協議の結果、米連邦公開市場委員会(FOMC)、日本銀行、欧州中央銀行の金融政策発表に注目して推移していました。
来週は木曜日にイングランド銀行の金融政策が発表され重要となりますが、その他、月曜日の主要国の製造業PMI、米ISM製造業景況指数、水曜日の主要国のサービス部門PMIのなども市場は注目することとなります。
詳細は、主要経済指標(2025年11月3日~7日)をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
-  
主要経済指標(2025年10月27日~31日)今週のの結果をまとめています。
 -  
主要経済指標(2025年11月3日~7日)来週の予定をまとめています。
 
なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でも配信中です。ぜひご視聴、ご登録ください。
ロンドン便り
今週は仕事のため日本に滞在しておりますので、英国からのニュースはお休みさせていただきます。
				





