金価格デイリーニュース(2022年5月23日)ドル安で金ETFへの資金流入が記録される中で金は上昇幅を広げる 2022年5月23日 月曜日 16:36 金相場は、月曜日のロンドン時間昼過ぎに上昇していました。 これは、金ETFが投資家の資金流入を見せる中で、ドルが1月ぶりの低さへ下げたことを受けたもので、前週の4週ぶりの週間の上げに加えるもの8営業日ぶりの高さとなっていました。 この背景は、バイデン米大統領が、中国に対する貿易関税の引き下げを検討していると述べたこと、またモスクワのウクライナ侵攻をめぐる欧米のロシア供給制裁の中で、サウジアラビアと他のOPEC石油カルテル加盟国に増産を要請したことから、株式市場は上昇していたことからでした。 金現物価格は本日昼過ぎまでに前週終値比0.7%上昇し、ドル建てでトロイオンスあたり1860ドル、ポンド建てではほぼ横ばいで1480ポンド、ユーロ建てでは為替市場でユーロが対ドル強含んだことから、0.2%安の1746ユーロを付けていました。ちなみに、円建てではgあたり7641円と0.6%高となっていました。 先週金曜日は、SPDRゴールド・トラスト(NYSEArca: GLD)とiShareゴールドETF(NYSEArca: IAU)の世界最大と第2規模の金ETFと共に投資家資金が流入し、その残高が増加していました。 4月19日以来資金の流入が見られていなかったGLDは2営業日連続の増加し、週間では3週間ぶりの増加となっていました。 また、IAUも5月9日以来初めて資金流入を記録していました。 それに対し、金価格が上昇を見せる以前の先週火曜日までの週のデータでは、ヘッジファンドやその他のレバレッジをかけた投機家は、コメックスの金先物・オプションにおいて、グループとして金に対して強気のポジションをさらに減らして、弱気ポジションを増加させていたことが明らかとなっていました。 その結果、資金運用業者のトレーダーのネットロングポジションは5週連続で減少し、約8ヶ月ぶりの低いものとなっていました。 また、米国の規制当局である商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータによると、先物・オプション市場において銀に対する強気ポジションも過去3年間で2度目となるほぼ0により近い水準までで縮小させていました。 銀価格は、月曜日昼過ぎにトロイオンスあたり22.16ポンドと、この2週間で最も高異水準へと上昇していました。 プラチナは、自動車触媒を中心とする工業用需要の3分の2を占めていますが、この価格も前週末比2.4%上昇のトロイオンスあたり976ドル/オンスと2週間ぶりの高値となりました。 ロシアが第1位の採掘量を誇るパラジウムは、本日3.3%高のトロイオンスあたり2033ドルとなっていました。 この間長期金利は堅調に推移し、指標となる米国10年物国債は前週の3営業日連続で下落から多少戻し小幅に上昇して、今月の3年半ぶりの高値を大きく下回って推移していました。 欧州の株式は上昇し、汎欧州のストックス欧州600指数は1.1%上昇、米国の株式先物は上昇していたことから、本日の市場明け後の上昇を示唆していましたが、先週のダウ平均が8週連続で下落し、1923年以来最も長い期間の下げを記録していました。 そして、S&P500とナスダックも先週、7週連続の下げを記録し、2001年のドットコムバブル崩壊以来最も長い期間の下げでもありました。 S&P500は前週金曜日の段階で直近の最高値から19%下落し、ダウは15.4%下落していました。そしてナスダックは、すでに弱気相場の領域に入る、高値から30%下落していました。 スプレッドベッティングのプラットフォームであるCMC Marketsのチーフマーケットアナリスト、マイケル・ヒューソン氏は、「まだ底を打ったとは思っていない。株式市場は、まだ粘り強いインフレをかなり懸念している。」と述べていました。 なお、この間ドルインデックス(主要通貨に対するアメリカの通貨の価値を示す指標)は、月曜日に日本を訪問した際にバイデン氏が中国製品への関税を引き下げると発言した後、月曜日に4週間ぶりの安値となる103以下まで下げていました。