金価格ディリーレポート(2025年3月24日)ロンドン金地金価格はトランプ関税による先物との差が狭まる中で下落 2025年3月24日 月曜日 17:50 ロンドン金地金は、米国株式市場が上昇し、ニューヨーク・コメックス金先物価格が、トランプ大統領の貿易関税が懸念されていたよりも緩和されるというニュースを受けて、ロンドン金地金に対するプレミアムを2025年の最低水準まで引き下げたことから、先週初めてトロイオンスあたり3000ドルを突破して以来、月曜日の午後3時の基準価格としては最も低い価格まで下落していました。 トランプ大統領は金曜日に、「4月2日はアメリカの解放記念日だ!」と宣言し、その後、大統領執務室で記者団に対し、外国製品に課される大幅な輸入関税を理由に、「柔軟性は重要な言葉だ」と語っていました。 ブルームバーグとウォール・ストリート・ジャーナルは週末、来週火曜日の新関税は以前考えられていたよりも「薄められ...焦点を絞られ...狭められる」と報じています。 S&Pグローバル・リサーチが発表した3月のPMI(製造業景況感指数)速報値では、「 関税の前倒しによって生産が増加した事例が減少した」ため、米国の製造業活動が急激に縮小しているにもかかわらず、ロイター通信によれば、「トランプ大統領の関税スタンスの軟化」によって、米国株は1.6%高で週明けを迎えていました。 「新規受注は財生産部門で失速寸前だった。また、同部門の投入品購入も再び減少に転じた。」とS&Pグローバル・リサーチは述べていました。 トランプ大統領の貿易関税の脅威の中、金地金現物が米国の先物市場の保管場所に大量に輸送され、CMEデリバティブ取引所で取引されているニューヨークの最も活発なコメックス先物取引価格は、貴金属に輸入関税が適用されるとの憶測の中、1月にトロイオンスあたり60ドルを超えてロンドン地金現物相場を上回りました。 しかし、このコメックスとロンドンの相場は、先週トランプ大統領の「柔軟な」アプローチと、現在米国の倉庫に保管されている金地金が、その価格差を利用しようとする銀行や他の業者によってCMEが承認した保管場所に未だ輸送されれていることを示すデータからも、2025年の新年以来の最低に近い、1オンスあたり2ドル安まで下げていました。 スイスの地金精錬・金融グループMKSパンプの金属戦略責任者ニッキー・シールズ氏は、「『関税の不確実性』と関税の経済的影響に対する不確実性を混同してはならない」と警告しています。 「トランプ大統領の関税引き上げが引き起こしている貿易戦争は、どう考えてもインフレを引き起こす」と、日本貴金属マーケット協会(JBMA)の池水雄一代表理事は最新のレポートで述べていました。 米連邦準備制度理事会(FRB)の政策チームのメンバーは先週、ドル金利を据え置き、今年12月のインフレ率の「ドット・プロット」予想を個人消費支出(PCE)コア・デフレーター指標で、前回発表の年率2.5%から2.8%に引き上げたにもかかわらず、2025年の金利の平均予想も据え置いていました。 FRBがインフレ指標として注目する個人消費支出(PCE)コア・デフレーターは、12月の2.9%から1月には前年同月比2.6%に低下していましたが、今週金曜日に発表される2月数値は、2.7%に戻ると予想されています。 先週の米中央銀行の決定後、トランプ大統領は自身の私設プラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」で次のように投稿していました。 「正しいことをしろ。4月2日はアメリカの解放記念日だ!」 ロンドン時間午後3時頃、最も活発なコメックス金先物はトロイオンスあたり3014ドルまで下落し、ロンドン地金価格は、米企業株のS&P500指数が2週間ぶりの高値に跳ね上がる中、3010ドルまで下落していました。 銀地金相場は変動が小さく、金曜の9営業日ぶりの安値であるトロイオンスあたり33ドルを下回る水準で推移しており、より工業的に使用される貴金属のコメックス・ロンドン相場は50セントを上回る水準で推移しています。 一方、ロンドンでの金の借り入れコストは2営業日連続で年率0.4%を下回り、1ヶ月のリース料は2月初旬の年率5.5%近い数年来のピークから大幅に低下していました。 CMEのデータによると、コメックスが承認している倉庫への金の流入が続いていることで、金在庫は先週金曜日にさらに0.7%増加し、1,303トンに達していました。 この史上最高値は、コロナ危機時にもまた、コメックス先物のロンドン現物相場との価格差を利用するために、地金をニューヨークの倉庫に大量に金地金が輸送された際に急増した際の最高値の20021年2月の値を6.2%上回るものとなっています。