金価格ディリーレポート(2021年7月19日)コロナ感染拡大で実質金利がマイナス幅を広げドルが強含む中で金価格は下げ幅を取り戻す 2021年7月19日 月曜日 18:16 金はドルの強さとマイナス金利の綱引きの中にいるようです。 Covid-19の感染者が急増している中で、株式市場やコモディティが下落し、米ドルが上昇し、米国債の実質金利が記録的にマイナス幅を広げる中で、金価格は1週間ぶりの低値を付けてその後20ドル取り戻し、銀価格は3ヶ月ぶりの安値を付けていました。 Covid-19の感染者数はアジアで急増しており、インドネシアの1日の感染者数はインドを上回り、シンガポールは11ヶ月ぶりの高水準となり、タイはパンデミックが始まって以来最高の感染者数を記録していました。 そして、オリンピックが金曜日に開催される東京では、日曜日にオリンピック村の選手村で最初の患者が確認されていました。 ヨーロッパでは、英国では、1日の感染者数が世界最多となったにもかかわらず、本日月曜日にほとんどの制限が解除される中で、ボリス・ジョンソン首相は、先週ウイルス検査で陽性と判定された同国の保健大臣と密接に接触したため、自己隔離をしています。 その一方で、隣国のドイツ、フランス、イタリアでは、ワクチンを接種していない成人に対する規制を強化しています。 ニューヨークの株式市場は、アジアで始まった売りがヨーロッパにも波及し、航空会社株を筆頭に、原油が5%、銅が2.8%下落し、2%以上の下落で週明けを迎えました。 主要国債の利回りも低下し、従来の米国債利回りは10年債で10ベーシスポイント低下の1.20%となり、5ヶ月ぶりの低水準となりました。 そして、米国物価連動国債の実質利回りも同様に低下し、年率マイナス1.10%以下となり、昨年8月に 金の史上最高値であるトロイオンスあたり2075ドルを記録した時の記録を上回る史上最低水準となりました。 ワールド・ゴールド・カウンシルのチーフ・マーケット・ストラテジストである ジョン・リード氏は、金がトロイオンスあたり1800ドルを下回ったことについて、「米国の実質利回りが低下しており、通常であれば米ドル建ての金価格が上昇するはずだ。」と述べていました。 「しかし、今朝の時点では、株式市場に見られるリスク回避の動きが引き金となって米ドルが上昇しており、実質金利がマイナス幅を広げることが、金をサポートするどころか、金にとっての障害となっている」と続けていました。 ドルインデックス(主要通貨に対する米ドルの価値を示す指標)は0.3%上昇し、2営業日連続で3ヶ月間の最高値近くまで上昇していました。 TD Securitiesのコモディティストラテジストである ダニエル・ガリ氏は、先週金曜日に金が1週間の上昇幅を20ドルから5ドルに縮めた際に、「金は米国の実質利回りの低下から大きな恩恵を受けられないことから、さらなる引き下げに対して脆弱であることが示唆された」と述べていました。 「デルタ変異種とその世界経済成長への影響に対する懸念が高まっている。そのため、一次的な安全資産としての流れがドルや債券に向かっている。」と貴金属専門コンサルタント会社のMetals Focusの南アジア地区のシニアリサーチコンサルタントの Harshal Barot氏は述べていました。 東京と香港の株式市場がそれぞれ1%以上下落したのに続き、月曜日のロンドン時間昼過ぎに主要欧州株式指数のStoxx 600が2.4%下落するなど、欧州株価は大幅に下落していました。 銀価格は、先週は1.7%の下落に続き、4月中旬以来の安値となる25ドル近くまでロンドン昼過ぎに下落していました。 また、需要の3分の2が自動車触媒をはじめとする工業用に集中しているプラチナ価格は、2.9%下落して1オンスあたり1075ドルとなり、金とプラチナのスプレッドは723ドル以上に拡大していました。 なお、原油価格が本日急落していたのは、世界的な新型コロナウィルス感染拡大の中で、価格を下支えするために、昨年低い割当量を課していた産油国の団体OPECとその同盟国が、日曜日に交渉が続いていた増産に合意したというニュースを受けたことからでした。