金の価値って何だろう?
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で金の価値について問いかけ、その基本的知識と共に解説しています。
**************
毎週いろいろと書いていますが、今週からちょっと基礎的なことも書いていこうと思います。基本はその時々で旬な話題をここでは書いていきますが、その合間合間に基礎知識的なことも入れていきます。今更と思う方も多いかもしれませんが、私自信も含めて、結構知らないことが多いものです。拙著「THE GOLD ゴールドのすべて」でさらっと触れたものも多いのですが、できればここではもう少し深く突っ込めればなあと思います。今週はその第一弾。
金の価値とは何か。これは実は非常に難しい問題です。私も30年近く金の取引に従事していますが、正直未だに絶対的な答えは見つかっていません。ただ一つ私が上げるとすればそれは金のみが持つその「不変性」でしょうか。
金の価値は現在、相場で形成される価格で表されます。とすると金は2012年4月9日現在、1グラム4,300円前後の価値があります。金は有史のはるか以前からその存在と価値を人間に認められていました。金は鉄などほかの大部分の金属とは違い、砂金などそのままの形で地球上に存在したため、特別な技術がなくても利用ができたのです。金の融点は1063度であり、薪の炎でも十分溶かすことができ、その柔らかさもあり加工しやすい金属であったことも大きいかもしれません。ですから紀元前3000年もの昔にさかのぼり、エジプトやメソポタミアの古代文明の頃からに金の造形物が作られ、それが現代にも残っていたりします。
つまり我々の遙か昔の祖先、少なくとも文明と呼べるものが始まった頃から金は人間により利用され、それも貴重なものとして認められていたのです。我々の祖先はどんなところに金の価値を見いだしたのでしょうか。これはまったくの想像にしか過ぎませんが、まずぴかぴか光ってきれいなこと。ずっしりと重たいこと。少ししかないこと。そしておそらく何よりも変化しないこと、つまり錆びたりして変質せずにずっときれいなままであるということにあったのではないでしょうか。
この「変わらない」ということ、大したことがないようですが、実は非常に珍しい特質です。これは物のみならず、人にも同じことが言えるでしょう。ずっと変わらずにいる人のことを、「軸がぶれない人」などと言って我々は尊敬します。変わらないということはいつの時代も美徳なのです。それは逆に言うと物事はすべて変化しているというのが世の中の常だからです。少し大げさかもしれませんが、輪廻転生が繰り返され、生き物は世代交代を繰り返し、生まれてそして死んでいきます。無機物でさえもすべてのものはいつか土に還ります。金属も数十年、数百年と数千年という時の流れの中ではいつか朽ち果てて、その形はなくなります。生きとし生けるもの、そしてそうでないものも含めてすべてのものが滅するという法則におそらく唯一例外的存在なのが金なのです。
金は自然に存在するあらゆる物に対して反応しません。ふつうの金属であれば酸化し(錆びるということですね。)劣化します。ところが金は酸化せずずっとそのままの形を保ち続けるのです。(唯一、王水と呼ばれる濃塩酸と濃硝酸3:1の混合液には溶けます。ただし自然界にはほぼ存在しません。)この特質があるからこそ数百年前どころか数千年前にさかのぼるような古代文明の金の造形物がその形をそのまま残し、現代の我々が博物館で見ることができるのです。(そういえばもうすぐツタンカーメン王の黄金の仮面が上野に来ますね。何千年も前の人が集めたゴールドという観点から見るとまた違った感慨があるかもしれませんね。)
最初に金を発見した人類はこの永続的不変性を知っていたはずはありません。最初はおそらくぴかぴか光るきれいなものがある、という程度だったのでしょ う。しかしその後、人間と金の歴史が深まるに連れ、おそらくその永続性にも気づき、価値を保存するにこれに越したものがないということも理解されてきたのだと思います。それが故に近代、「金本位制」などという制度が確立されてきたのですね。古来から価値の保全に金に優るものはなかったと言っても過言ではないでしょう。
以上、金の価値の根源的なところを私なりに感じている点でした。当然のことながら金のもっと違った点に価値を見つける人もいるでしょう。たとえば実際的な価値。パソコンや携帯電話の部品に金が使われているのはみなさんご存知の通りです。工業用素材としての価値はその耐食性、導電性、(電気抵抗が低いこ と)などの特性を利用してさまざまな分野で認められています。しかし、金の全需要の中で占める工業用需要の割合はわずか二割にすぎません。残りの八割は宝飾や投資といったいわば金を金のまま保持する用途です。金はその実用的価値よりも金そのものを持つというところで価値を認められていると言えるでしょう。 売れっ子作家、ダン・ブラウンの「ロスト・シンボル」の一節がまさにそれを言い得ていると思います。「金は、すべてのものがいずれ滅するという自然の法則 に従わない。古代の人々が金を魔法の金属とみなしたひとつの理由である。」
以上
**************
資産保護のために金の購入をお考えですか。ワールドゴールドカウンシルが、一般投資家への金地金提供企業として推薦している、オンラインで世界有数のブリオンボールトでは、日本のお客様にも、低費用でスイスでの金地金現物保管サービスを提供しています。




