世界金需要2012年の動向(1)
初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」で、先月発表された、2012年の世界需給データを分析し解説しています。

2012年の世界金需給データが公表されたので、お約束とおり、今週を皮切りに、2、3回に分けて、いくつかポイントを絞って紹介しておきます。目先の価格形成には金先物の影響が大きいものの、中長期のトレンドを形成するのは需給動向ですから、(正直、すこし退屈だろうとは思いますが、)折に触れて確認しておくことは大切です。
まず、供給全体について見ると、2012年は、前年比1%のマイナスの4,453.3トンとなりました。
そのうち新産金とも呼ばれる鉱山生産は、ヘッジ買戻し*1を含め、1%マイナスの2,847.7トン。二次的供給源とも呼ばれるリサイクル金*2は前年対3%マイナスの1,625.6トンとなっています。
平均価格が前年の1,571.6ドルから1,669.0ドルへ100ドル近く上昇しているにも関わらず、新産金もリサイクル金もやや減少という結果です。新産金については頭打ちの傾向が伺える一方、リサイクル金が減少しているのは、おそらく、さらなる高値への期待の現れだろうと思われます。
次に、2012年通年を需要を見てみましょう。需要全体は重量ベースで前年比4%減少し、トータルでは4,405.5トンに落ち着きました。ただ、価格水準が上がっているだけあって、金額ベースでは2,364億ドルと過去最高を記録。
需要が前年より落ち込んだ分野は三つあります。宝飾品分野が3%減少して1,098.1トンに、テクノロジー分野が5%の減少して428.2トンに、そして一般個人の投資が多いと見られる現物投資の分野が17%減少して1,255.6トンに。
ここでいう現物投資とは地金とコインの需要で、地金はおもにアジアで好まれる傾向が強く、コインはおもに欧米で好まれる傾向があります。
反対に大きく拡大した分野が何かといえば、金ETFと各国中央銀行の需要です。
金ETFはざっくり見て機関投資家の動きを反映しているわけですが、前年より51%拡大して279.0トンとなりました。
そして何といっても特筆すべきなのは、各国中央銀行の金準備増強の流れでしょう。詳しい紹介は次回以降に譲りますが、2012年は17%拡大して534.6トンを記録。これは1964年以来、最大とのことです。
1990年代から2000年代前半にかけて、中央銀行といえば金売却の一大勢力でした。米ドルを買って金準備を売ってきましたが、そのトレンドは180度転換しています。底流に、ドルやユーロといった信用通貨に対する不安があると言って良いでしょう。
(データ出典)
World Gold Council
LBMA
Thomson Reuters GFMS
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