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【金投資家インデックス】金投資需要が10ヶ月ぶりの高さへ急増

インフレが株式、債券を揺らぐ中、金投資が急増していました。
 
債券価格と世界の株式市場の下落により、金投資需要が4月に10ヶ月ぶりの高水準に跳ね上がったことが最新データで明らかとなりました。
 
先月の金地金需要の増加は、連邦準備制度理事会(FRB)を中心とした中央銀行が、過去数十年で最悪のインフレに対抗するために金利を大幅に引き上げるという予想にもかかわらず、ドル以外の金価格が史上最高値に近い、もしくは最高値を更新したことに起因しています。
 
しかし、中央銀行はインフレに大きく遅れをとっているため、現金や債券からの実質リターンは1970年代よりも深いマイナスとなっており、そのことが希少価値のある有形資産である金への投資需要を高めています。
 
顧客による売却を差し引いた、4月のブリオンボールトの顧客の金地金のネットの購入量は、昨年6月以来最も多く、ほぼ250キロとなりました。
 
そして、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの中から顧客が選べる保管場所で保険がかけられて貯蔵されている金地金の評価額は29億ドル(5070億円)相当となっていました。
 
金投資家インデックスと月間平均金価格の推移 出典元 ブリオンボールト
 
4月の金購入者数は、3月にロシアのウクライナ侵攻によって、2年前にコロナ危機が始まって以来の大幅な月間ベースの昇を記録したことから、前月比25.3%減少していました。
 
一方、金売却者数は3月から46.4%減と1月以降で最も少なくなっていました。
 
その結果、24時間稼働しているオンライン貴金属市場を提供しているブリオンボールトの独自のデータを基に算出された個人投資家の金投資へのセンチメントを表す金投資家インデックスは、0.3ポイント上昇し54.2となり、過去7ヶ月で最高水準に達しました。
 
この指標は、月間に売却を上回る購入をしたネット金購入者数とネット金売却者数のバランスを、月初の金保有者の割合として表示し、その数が一致した際を50としたものです。
 
ブリオンボールトの数値は、他の金銀地金市場のデータを補完するものであり、世界最大のオンライン貴金属市場を利用する個人投資家の投資意向を調査するアンケートを基にしているのではなく、個人投資家が実際に取引したデータを基に算出されています。
 
中央銀行の政策金利が上昇し、長期債の利回りが急上昇しているにもかかわらず、なぜ金投資需要は高まっているのでしょうか?
 
金利上昇は当然、金価格にとって逆風となります。なぜなら、貴金属は金利を産まないことからです。しかし、今週の米国FRBの0.5%の利上げという大方の予想を前にしたドル高が、金の底強さを多少ながら覆い隠しています。
 
しかし、欧州の株式市場が今年に入ってから10%下落したのに対して、金はユーロと英ポンド建ての両方で10%上昇しています。そして人口比で調整されたG7諸国の中央銀行の政策金利は現在、平均6.3%ポイントインフレを下回っています。そのような中で2022年の金価格は今年7.2%上昇しています。
 
通貨価値の低下、言い換えれば、インフレが通貨、債券、株式を直撃する中で、投資家は金で分散投資を継続的に行っているのです。そして、ドル高が先月金価格を3月のほぼ記録的な月間平均から下げて0.7%安のトロイオンス1934ドルとしましたが、ユーロ建てと英国ポンド建て金価格は共に1.2%以上上昇していたのです。
 
そこで、金はユーロ建てでは1790ユーロと史上最高値を更新し、英国ポンド建てでは平均1496.50ポンドと、2020年8月の史上最高値をわずか3.50ポンド下回る水準へと上昇していました。
 
銀投資家インデックスと月間平均銀価格 出典元 ブリオンボールト
このような状況下において、銀は金と異なり、その需要の半分以上(52%)が産業・技術用途であるのに対し、金はわずか8%であることからも、銀価格は4月にはすべての主要通貨で下落していました。
 
このため、銀投資家インデックスは、2021年6月以来最も速いペースで上昇し、2.4ポイント上昇の53.6と4ヶ月ぶりの高値となりました。
 
銀の需要も重量ベースでプラスとなり、ブリオンボールトの利用者によって6ヶ月ぶりに保有量を増加させ、3月末の10ヶ月ぶりの低値から約6トン多い1220トンで、評価額は9億ドル(1200億円)相当まで増加していました。
 
しかし、その一方で、今週水曜日の米国FRBの政策金利の引き上げ予想はすべての資産クラスの価格に影響を与えており、5月に銀は、ドル建てで3ヶ月ぶりの安値に近い水準へ下げた金と同様な動きをしています。
 
しかし、英国ポンド建てとユーロ建ての金価格は、債券価格が急落して債券利回りが上昇して英国債券においては2015年後半以来の高い金利を提供し、ドイツの債券利回りが牽引してユーロの長期金利を8年ぶりの高さにまで引き上げる中でも、ずっと堅調に推移しているのです。
 
しかし、10年物国債利回りはドイツの最新のインフレデータより7%ポイント近く低く、英国の利回りは英国のインフレより4%下回っています。
 
貯蓄者と所得投資家にとって、このような状況はかつてありませんでした。そこで、資産価値を保全するために、金、銀、その他の貴金属の現物を保有することを選択する人の数が増加しているのも不思議ではないのです。
 

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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