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【金投資家インデックス】金投資は回復したものの、新規購入者数は低水準となる

貴金属の新規顧客数は45ヶ月ぶりの低さへ下げていました。
 
ブリオンボールトの最新のデータによると、年初に利益確定売りが殺到した後、金価格が下げたことで投資家の貴金属への関心がこの2.5年間で最も速いペースで回復したことが明らかとなっていました。
 
しかし、金価格が全ての主要通貨で直近の月間平均の高値から5%以内を維持していることから、投資家の売りを差し引いた投資需要は依然として顕著ではなく、新たに貴金属を購入する投資家の数は、2019年春以来最も少なくなっていました。
 
この背景は何なのでしょうか。急騰するインフレ、ウクライナ戦争、景気後退の懸念、執拗な中央銀行の買い支えはすべて、投資の保険として金を保有する動機づけを高めているはずです。
 
しかし、これらの要因は、昨年ウクライナ戦争が勃発したこの時期にあった、投資家の需要を高めた緊急性と衝撃性を持ち合わせていません。そのため、投資家の金に対する関心は、市場の動きに反応しており、価格にとても敏感になっています。多くの投資家は金を積極的に取引しようと、下げで買い、高値で売る一方で、長期的なポートフォリオのアロケーションとしては、未ださらなる調整を待っています。
 
しかし、金価格の下げは、アジアの大きな宝飾品市場と新興国の中央銀行からの強い買いによって、一定の水準に留まっています。欧米の投資家や金ETFの資金の流れとは対照的に、これらの需要はこの水準で金の購入を行っていることから、現在の価格のサポートとなっているのです。
 
金投資家インデックスと月間平均金価格の推移 出典元 ブリオンボールト
 
2月のドル建て金価格は月間で5.2%下落し、2021年6月以来の急落となり、月間平均では1月の9ヶ月ぶりの高値から2.3%下落していました。
 
これは、ドル建て価格においては、過去に6回のみ超えた水準で、ユーロにおいては10回のみでした。また、2月の英国ポンド建て金価格は、1月の史上最高値に次ぐ高い価格となっていました。
 
そのような中でも、既存投資家の主導で、先月は金の購入を選択した人の数は1月の数字から2割回復し、売り手の数は半分以上減少していました。
 
その結果、金投資家インデックスは新年の3.5年ぶりの低水準から3.9ポイント上昇し、ドル相場が2020年8月にトロイオンスあたり2075ドルという現物金地金市場の史上最高値を記録して以来最も早いペースの上昇となり、54.5となりました。この指数は、月間で売り手の数と買い手の数が完全に一致した場合に50.0となります。2020年3月にコロナ危機が世界を席巻した際には、9年ぶりの高値となる65.9を記録しています。
 
ちなみに、金投資家インデックスは、2009年10月から8ヶ月連続で金価格と逆の方向に動いており、ブリオンボールトが金投資家インデックスを算出初めた2009年10月以来の記録となっています。
 
銀投資家インデックスと月間平均銀価格のチャート 出典元 ブリオンボールト
 
一方、ドル建て銀価格は2月に10.7%下落し、2020年9月以来の急落を記録したほか、月間平均では7.3%下落し、昨年7月以来の急落となっていました。
 
その結果、銀投資家インデックスは7ヶ月ぶりの高値となる54.4となり、12月に価格が2桁上昇した際に記録した47.5から2ヶ月連続で上昇し、前月比約3.5ポイントの上昇となりました。
 
銀は、1月の減少量の9.6トンの半分近くを取り戻し、顧客の保有量は1246トンで評価額は8億2200万ドル(1120億円)に達し、10億ドルを超える史上最高値だった2021年春から22.8%減少していました。
 
金地金に関しては、先月の需要の高まりにより、ブリオンボールトの顧客の金地金保有量は、1月の331キロの減少分の10分の1を取り戻し、47.8トンとなり、評価額で28億ドル(3830億円)となり、1月の評価額としての史上最高値から5.1%の下落となっていました。
 
現在、10万人以上の個人投資家が、評価額37億ドル(5080億円)以上の金、銀、プラチナ、パラジウムを世界5箇所の安全な保管場所で保有するために利用していますが、2月の新規顧客数は前月比16.1%減少し、45ヶ月間で最も低い水準へと下げていました。
 

 

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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