【金投資家インデックス】金価格が最高値を更新する中、金投資センチメントは2014年の弱気相場以来の低値に沈む 2024年1月11日 木曜日 15:32 中央銀行の金投資額は過去6年間で最高を記録しているが...。 2024年の金相場は記録的な高値で始まりましたが、個人投資家の投資センチメントは10年前の貴金属の弱気相場以来の最も低い水準となっていました。 銀については後述することにしましょう。しかし、金については、民間投資と中央銀行との間の違いは、これ以上ないほど鮮明となっていました。それは、公的部門の外貨準備において金が再び世界の通貨システムの主軸であるかのように買われている一方で、民間資本は、貴金属が記録的な強気相場に入っているにもかかわらず、まるで弱気相場から抜け出せない頃のように、貴金属投資を行わず、売却機会と見ているからです。 12月初めにトロイオンスあたり2143ドルという現物市場の新記録に急上昇した金価格は、米国通貨建てで年末、四半期末、月末、週末の新記録で2023年を終えていました。 金地金は、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年ドル金利を引き下げる計画を確認した後、前年末から13.7%上昇し、トロイオンスあたり2062ドルで終えていました。 これを受けて、12月は2019年5月以降のどの月よりも月間で購入量よりも売却量が多かったネットの購入者数が少なく、11月の数から12.0%減少していました。対照的に、ネットの売却者数は3.5%増加し、10月の7ヶ月ぶりの高さ以来の多さとなっていました。 そして、金投資家インデックス(現物地金への個人投資家のセンチメントを表す指標)を0.5ポイント押し下げて51.4とし、世界金融危機の当時の貴金属の記録的な上昇後に金価格が前年の急落を拡大させた2014年以来の低い12月の数値となっていました。 また、先月の数値は、金投資家インデックスの年平均を過去9年間で最低の53.0とし、2022年から1.6ポイント下げていました。この指数は、月間でネットの金購入者数とネットの金売却者数が完全に一致すれば50.0となり、2020年3月のコロナ危機下に月間の数値は65.9の10年来のピークを記録していました。 高金利と記録的な金価格の高騰は、新規の金購入を抑制する一方で、既存投資家の継続的な利益確定売りを誘っています。対照的に、中国を筆頭とする中央銀行は価格に関係なく金を買い続けており、リスクを分散し、米国の制裁にさらされるリスクを減らすために外貨準備において米国ドルの比率を減少することを目指しているため、1960年代初頭以来最も速いペースで金を積み増しています。 これは、2024年の米大統領選を前に、大国間の不信と緊張が悪化していることを浮き彫りにしています。しかし、昨年の地政学的リスクを高めた多くのニュースにもかかわらず、世界の株式市場が2022年の暴落をほぼ反転させたため、金投資をすることは個人投資家にとって緊急性を欠いていたのです。 金の上昇トレンドは2024年も続くと予想されており、米FRBが欧州に先駆けて利下げを開始することを示唆したことで、個人投資家の金地金需要は回復する可能性が高いと考えます。しかし、より顕著な反発には、地政学的、経済的、金融的なショックによる新たな緊急性が必要となることでしょう。 その結果、ブリオンボールトの顧客がロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒのいずれかを選択し、保管されている金地金の総保有量は、2022年3月以来初めて47トンを下回ることとなりました。 そして、ブリオンボールトのユーザーによる銀地金保有量は、2023年8月の記録から2.6%減で、2023年新年の記録から1.2トン減少し、年間では記録的な大量流出となったものの、ドル建ての評価額では昨年中に11.0%増加し、12月末には31億ドル(日本円で19.2%増の4,410億円)を超える新記録をつけていました。 12月の銀の月間平均価格は、ドル建てで2.5%上昇し、7月以来の24ドルに達していました。 しかし、月末にかけて貴金属は急落し、ドル建てでは11月末の25ドルから4.9%下落し、2021年半ば以来の低値となりました。その結果、銀のネットの購入者数は11月の13年ぶりの低い水準から43.6%増加し、ネット売却者数は7ヶ月ぶりの高い水準から41.3%減少していました。 この結果、銀投資家インデックスは、11月の新低値から4.4ポイント上昇し、50.8となりました。また、年平均でも50.8を維持し、12年間で過去最低を記録した2022年の年平均から1.7ポイント低下していました。 何度も述べるようですが、貯蓄への金利が高いため、利回りの悪い地金は魅力的ではありません。しかし、銀地金からの資金の流出は、金地金よりも激しく安定したものとなり、2021年1月のシルバースクイーズというSNSでのスローガンで一時的にトロイオンスあたり30ドルまで価格が急騰した時のことは、今となっては非常に遠いもののように感じられます。 12月の銀価格は、一時的にトロイオンスあたり30ドルと急騰しました。 銀の保有量は、過去31ヶ月で最小となり、2022年10月の記録的な水準を4.2%下回り、評価額では9億2,800万ドル(1,310億円)となり、12ヶ月前と比べてドル建てで3.6%減少して新年を迎えました。 通常、強気相場であれ弱気相場であれ、銀価格は金に追随する傾向がありますが、その動きは金よりも大きなものとなります。しかし、昨年は、暗い経済見通しが、太陽光発電にけん引された記録的水準となった産業用銀需要を上回ったために銀価格は低迷しました。このように投資需要が一服する中、銀は、2024年の金価格を支えて上昇させた中央銀行の需要が無いことも、この低迷の要因となっています。