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【金投資家インデックス】月間平均金価格が2000ドルと記録を更新する中で米投資需要が急増

米国からの新規顧客数は前月比倍増していました。
 
米国における金投資への需要の急増は、米国政府の債務上限に関する議会の対立が米国の銀行セクターへの懸念を高める中で、前月の欧米の個人投資家の利益確定が緩和されていたことが最新のデータで明らかとなっています。
 
この数値とは、世界有数のオンライン貴金属取引サービスを提供するブリオンボールトでの顧客が実際に行った取引のみから算出される独自の投資センチメントを表す金投資家インデックスです。
 
4月の金は、米ドル、ユーロ、ポンド、円、その他ほとんどの通貨で、月平均価格が過去最高値を更新し、ドル建てにおいて4.6%上昇し、現物市場の中心であるロンドンで決定されるロンドン貴金属市場協会(LBMA)価格において、トロイオンスあたり平均2000.42ドル(1606.62ポンド、1822.54ユーロ、グラムあたり8584円)となっていました。
 
ブリオンボールトで金への投資や既存の保有資産を増加させた顧客数は、5ヶ月ぶりの高水準となった3月から10.4%減少した一方で、売却者数は過去最高となった3月から41.6%減少していました。その結果、金投資家インデックスは53.9となり、2.0ポイント上昇し、この12ヶ月間で金価格と反対方向に動かなかったのは2回目と安全資産の需要の強さ見せていました。
 
2020年3月のコロナ危機で65.9と10年ぶりの高値をつけた金投資家インデックスは、もし月間で購入者数と売却者数が一致すれば50.0となります。
 
金投資家インデックスと月間平均金価格 出典元 ブリオンボールト
 
そのため、2023年初頭に金がトロイオンスあたり1900ドルを超えて上昇した際に利益確定売りが進んだ後に、投資を希望する個人投資家は、この高値水準に慣れつつあり、先月の平均2000ドルという過去最高値で保有金を増加させています。
 
ここでも、貴金属の新規投資の世界的な増加は、政治的・金融的ストレスを背景としています。なぜなら、米国の一般投資家の中では、債務上限に関する議会の対立が銀行セクターに対する不安を増大させているため、投資意欲が高まっているのです。
 
これは、昨年春のロシアのウクライナ侵攻時にユーロ圏の投資家が起こした反応や、9月の英国政府の小型補正予算による金融市場の混乱時の英国の投資家の反応と同様のものとなっています。
 
弊社における前月の世界の新規顧客数は、3月の1年ぶりの高水準から29.9%減少していましたが、米国飲みにおいては28.9%増加し、2021年4月以来の最高値で、過去12カ月平均から2倍以上になっていました。
 
この109.3%の急上昇は、ユーロ圏の新規投資家数が4月に前12カ月平均比で3.3%減少し、英国の初回投資家数がわずか1.1%の上昇にとどまったことと対照的となっていました。
 
現物の金地金に投資する個人の需要と同様に、金ETFの資金流入とコメックスの派生商品の投機的な金取引は、貴金属が以前2000ドルを突破したときと比較して控えめなままです。
 
しかし、中国の消費者需要と新興国の中央銀行による執拗な購入によって、現物価格が引き続き強力にサポートされている間、金投資は上昇し、価格をさらに押し上げる余地が十分にあるのです。
 
金価格が過去最高値を更新しているにもかかわらず、ブリオンボールトを利用している投資家は、先月12月以来最も金保有量を増やし、月間で0.2%増加し、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから顧客が選択した保管場所で、安全に保険がかけられて貯蔵されている金総量は47.7トンに達していました。
 
これは、多くの中央銀行が保管している金準備よりも多く、その総量は12月のピークを0.4トン下回っていますが、その評価額は30億ドル(24億ポンド、27億ユーロ、4160億円)を超える史上最高値となっていました。
 
銀投資家インデックスと月間平均銀価格 出典元 ブリオンボールト
4月に金が4.6%上昇し過去最高値を更新したのに対し、銀の月平均価格は14.0%上昇し、2020年8月以来最も速い上昇率となり、13ヶ月ぶりの高値となっていました。
 
ブリオンボールトは、個人投資家が金銀地金小売店の取引コストの数分の一で銀地金を取引できるため、この高騰で6ヶ月連続で売却者数が購入者数を上回り、この利益確定により銀投資家インデックスは47.9まで下がり、12月の過去最低価格をわずか0.4ポイント上回り、価格が下げたことで上昇した3月の数値を4.5ポイント下回った。
 
ブリオンボールトの顧客は、2022年1月以来最も多い20トンの銀地金を売却し、ロンドン、シンガポール、トロント、チューリッヒのいずれかに保管されている銀地金の総量は、3ヶ月間で最も少ない1243トンにまで減少していました。
 
このように銀総量が減少したにもかかわらず、ブリオンボールトの顧客が保有する銀地金の評価額は、2.0%上昇し9億8500万ドル(7億9400万ポンド、9億100万ユーロ、1350億円)となり、2021年新年のソーシャルメディア上でのシルバースクイーズ(#silversqueeze)で価格が高騰したことに伴い総評価額が10億ドルを超えた際以来の最高額となりました。
 
今回のデータから得られる結論はどのようなものなのでしょうか?
 
ボラティリティと強い上昇トレンドは、素早い価格の動きを利用したいアクティブな投資家にとって貴金属を非常に魅力的なものにしています。インフレ、銀行の破綻、政治的リスクに対してリスクヘッジとして投資を行いたい長期的な個人投資家にとっては、現物所有の確実性と安全性が引き続き輝きを放っていると言えるでしょう。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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