【金投資家インデックス」価格の急落で金投資が急増 木曜日, 8/04/2022 17:25 金価格の急落で2020年半ばのように投資需要が急増していました。 金は、先月この5年以上で最も急激な米ドル建て価格の下落をしました。そこで、2020年の夏以降で最も早いペースの金投資急増を促し、個人投資家がインフレ、株式市場のリスク、経済見通しの悪化に対するヘッジとして金を購入し、ブリオンボールトの顧客の保有量を過去最高まで増加させていました。 ドル建て金価格の7月の平均は、6月に比べ5.3%安のトロイオンスあたり1736ドルとなり、2016年12月以来の急落で16年間で最も低い月間平均価格となっていました。 この価格の急落によりブリオンボールトで金地金を購入したユーザは、今年3月以降最も多く、前月比27.9%増となっていました。それに対し、金地金を売却したユーザーは10.3%減少し、12月以降で最も少なくなっていました。 その結果、貴金属現物に対する個人投資家のセンチメントを示す金投資家インデックスは、56.8となり、昨年6月以来の高い数値となっていました。 金投資家インデックスは、その月に金を売却した顧客数と購入した顧客数が完璧に一致した場合50.0となるように設定されています。2020年3月に新型コロナウィルス感染の世界的な広がりでこの数値は65.9という10年ぶりの高値を記録していました。 7月の前月比2.3ポイントの上昇は、米ドル建て金価格が史上最高値を記録した2020年8月以来の指数の大幅な上げ幅となります。 顧客の売却量を差し引いた重量ベースの金需要も7月の価格下落を受けて急増し、ブリオンボールトにおいて2021年6月以来の大幅な増加量である0.2トンに達していました。 これにより、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの保管場所から顧客が選択して保険をかけた上で貯蔵できる金地金の総量は、47.7トンを超え、27億ドル(3610億円)相当の新記録を更新していました。 7月の金価格の下落は、米ドル建てよりもユーロと英ポンド建てにとっては小幅なものとなり、これらの月間平均価格はそれぞれ1.8%と2.8%下げで、トロイオンスあたり1706ユーロと1449ポンドと5ヶ月ぶりの安値となっていました。 一方、貴金属への新たな関心は世界的に低いもので、ブリオンボールトの月間の新規口座開設数は、11ヶ月ぶりの低水準となった6月からわずか2.4%増加したにすぎず、典型的な夏枯れ市場が続いています。 そこで、新たな貴金属投資への関心は夏という季節からも高まっていませんが、既に貴金属に投資している既存の顧客は、金価格の急落を購入機会と見て保有量を増やしていました。 この夏の個人投資家による金投資の急増は、機関投資家の動きとは対照的なものとなっています。投機筋がコメックスの先物やオプションで弱気ポジションを積み増す中で、中央銀行が4年ぶりの高水準のインフレに直面して金利を引き上げる姿勢を明確にしていることからも、価格がさらに下落する観測もあり、金ETFの保有量もまた減少させています。 しかし、中央銀行のタカ派的姿勢は、利上げによる景気後退の観測を広めるのみとなっているようです。ブリオンボールトが毎年2回顧客に行っているアンケートによると、投資家が金の購入を選択する理由としては、インフレが39.2%で第一位で、株式、債券、不動産などの幅広いポートフォリオを分散する必要性が33.9%と2位となっており、今後の経済見通しの悪さが15.3%と3位となっていました。 ブリオンボールトのアンケートの回答者は、今年の年間平均金価格を1961ドルと予想しています。これは、現在の水準から10.6%上昇となり、金の年末価格としては3年間で2度目の新記録を更新することを意味します。 7月の銀価格は金の2倍の下げ幅となり、ドル建てで月間平均11.2%下落し、2020年3月のコロナ危機によるコモディティ価格の暴落以来の記録となっていました。 そのため、金と同様に個人投資家による銀投資が急増し、銀の購入者数は45.9%増で、6月の急落を十分に取り戻していました。一方、銀の売却者数は前月比9.0%減となり、2019年12月以来の低い水準へ下げていました。 そこで、銀投資家インデックスは5月の56.0まで回復し、昨年6月以来の高水準となっていました。 銀の需要は重量ベースでも強いものがあり、顧客の売却量を差し引いて12.0トンとなり、ブリオンボールトのユーザーが保険をかけて保管し銀総量は過去2番目に高い月末の数値である1250トンと増加し、8億ドル(1080億円)相当となっていました。