金の基礎知識

金貨

 

金貨

主なる金貨#

どのような目的においても、金の購入において、安全で、安く、シンプルな方法が、金貨を購入する以外にあります。

しかし、もし金貨を保有することを希望しているのであれば、世界に数種の選択可能な地金型金貨があります。地金型金貨は、伝統的な通貨の代替の資産保有方法として利用されています。

地金型金貨の魅力は、政権交代があっても、国外に持ち出したとしても、その価値を維持する点です。

これらは、「古銭」の金貨ではありません。地金型金貨は、希少なものではなく、その価値は、金の重量に価格を掛け合わせることで算出できます。それに対し、「古銭」の金貨は、希少価値があり、収集価値のあるものとして考えられます。古銭の金貨の価格は、地金型金貨よりも変動が激しくなります。それは、金の価格変動に影響を受けると共に、収集家の観点からも変化するためです。

主な地金型金貨#

発行国名 金貨 その単位 純金量 (金貨あたり)
オーストラリア ナゲット / カンガルー金貨 10, 2, 1, 0.5, 0.25, 0.1 31.104 グラム
オーストリア フィルハーモニカ金貨 1, 0.5, 0.25, 0.1 31.104 グラム
英国 ブリタニア金貨 1, 0.5, 0.25, 0.1 31.104 グラム
英国 ソブリン金貨 1, 0.5 7.315 グラム
カナダ メープル金貨 1, 0.5, 0.25, 0.1, 0.0667 (1/15トロイオンス), 0.05 (1/20トロイオンス) 31.104 グラム
南アフリカ クルーガ-ランド金貨 1, 0.5, 0.25, 0.1 31.104 グラム
米国 イーグル金貨 1, 0.5, 0.25, 0.1 31.104 グラム

31.104 グラム = 1 トロイオンス グラム/トロイオンスあたり価格を確認。

金貨は1933年から1965年までほぼ製造されていませんでした。そのため、金所有を行なう個人投資家の需要が失われてかけていました。しかし、南アフリカが1967年初頭から、金鉱を再開したのでした。

先の表でも分かるように、世界でも数カ国が、金貨を現在製造しています。

一般的に、これらの金貨は造幣局で直接入手できません。その代わりに、造幣局が販売網を持つ小売業者と契約をしています。造幣局は、金貨に含まれている金に通貨発行益と呼ばれるプレミアムを加えます。そして、小売会社はマージンをそれに加えます。

世界のどこにおいても、先の金貨が通貨として利用されることはありません。

グレシャムの法則#

グレシャムの法則を要約する「悪貨は良貨を駆逐する」は、良く知られています。これは、金貨にも通じるものです。

多くの金を信じる人々、なぜ金を好まない人々が存在し、金が価値を交換する手段として広く利用されていないかを理解することが困難であるようです。しかし、グレシャムの法則がこれを説明しています。

急激に価値を失いつつある米国ドルもしくは他の通貨をポケット一杯に持っていることを想像してください。そして、何かを購入するとして、金貨も失いつつある通貨も、この商店では使用を許されている場合、どちらを使うでしょうか。

そのために、通貨は流通しているのです。悪貨は常に価値を失います。そのために賢明な人々はその前に使い、良貨を蓄えているのです。広く一般で利用されていないのは、必ずしも金貨が通貨よりも劣ることにはならないのです。実際には反対といえるでしょう。つまり、その富を蓄える機能があるからこそ、広く流通していないのです。

その結果は、この状況を更に強めているのです。より急激に価値を失っている通貨が多ければ、より少ない人々が金貨を使用することになるでしょう。そのために、商店がその利用を受け入れなくなります。そして、認識できず、その価値を理解できない金貨を受け入れることはなくなります。

そして、どのようなことが起こるかというと、金貨を偽金貨と見分けられ、取引できる技術が、金貨を取り扱う専門業者に限られることとなります。これは、その取り扱い費用を増加させることとなります。それは、この専門知識を持つことによる利益であり、この知識を持ち合わせていない人々はそれを支払わざるを得ないのです。

現在、金貨の取引は合法であり、金貨を取引できる、通常非課税の開かれた市場があります。しかし、少量の金貨を金貨のディーラーと取引をする場合、実際の金の価値の6-10%をプレミアムとして支払わなければなりません。

そして、この金貨を売却する際には、売却価格も、本来の金価格よりも2-6%少ないものを受け入れざるを得ないでしょう。

その間、もし経済危機が起きた場合、この金貨はとても利用価値のあるものとなるでしょう。このような状況下では、1933年に米国で起きたように、1つの可能性としては、実際の価値よりも低い値段で政府による強制的な買取が起こるかもしれません。その場合、その所有者は、(i)損失を覚悟で買取に応じるか、(ii)利用できないけれども、隠れて保有する、(iii)不法なルートで(おそらく低い価格で)、売却をするという手段が残ります。

おそらく、世界のほとんどの国で、歴史上このようなことが行なわれたはずです。そして、為替管理が行なわれた場合、金を為替管理が行なわれている国の外へ持ち出すことは不可能でしょう。

このために、人々は緊急時に備えて、少ない量の金貨のみを保有しているのです。そして、最悪の事態のみに利用する覚悟でいるのです。そして、通常は資産保全のために海外で金を保有しています。その場合、専門市場のように流動性のある市場を利用しています。これは、富裕層に限られた選択肢ではありません。ブリオンボールトを利用して行なうこともできます

もし、危機に見舞われていない、国外の資産を保護することで知られており、政治的にも安定した国で、金の所有をすることができるのであれば、この金は国内で保有するよりも安全であるといえるのではないでしょうか。

そのために、金貨の購入は、緊急時のためとして考えられるべきであり、富を蓄えるための方法として利用されるべきではないのです。

更に詳細については、金の投資についてをご覧ください。

金貨に関するFAQs

金貨の基本的な価値は、金貨に含まれる金の含有量に、購入者が選択した通貨での金のその時点での価格に従って算出されます。購入者(もしくは販売者)は、3%から8%のマージン(もしくは販売店での値引き)を考慮しなければなりません。このため、金貨の価値は、ブリオンボールトの金価格チャートで確認できる金のスポット価格によって変動します。

アンティーク金貨の価値は、金地金市場とは直接関係がありません。その価値は、純金の含有量ではなく、その金貨の希少性、収集性、購入者の感情によって決定されます。そのため、短期的には変動が少ないと言えます。

全ての1オンス金貨には1オンスの純金が含まれているため、どの金貨を選んでも基本的な価値は同じです。買い手は金貨の価値よりも高いマージンを加えた価格を支払わなければならず、売り手は通常その価値よりも低い金額を受け取ることになります。

金貨の価値は、金貨に含まれる金の含有量に、買い手が選択した通貨での金の現在の価格を元に算出されます。したがって、同じ純金含有量のすべての1オンス金貨の「スポット価格」の価値は同じになります。しかし、最初に鋳造された1トロイオンス金貨は南アフリカのクルーガランドで、これは今でも世界で最も人気のある金貨の一つです。

英国の納税者にとって、1オンスのブリタニアは、売却時に譲渡所得課税がかからないため、購入するのに最適な金貨に思えるかもしれません。しかし、これは英国の投資家にとって気をつける必要があります。なぜなら、ブリタニアの売買にかかる追加費用が、ほとんどの人にとっての利益をすぐに消し去ってしまうからです。

金への投資は、バランスの取れたポートフォリオの一部として、リスクをヘッジする良い方法と考えられています。金貨は、金融危機や景気後退時に他の投資資産が下落する中で、専門的な金貨市場の価値が上昇するという傾向があります。

しかし、購入時の価格と売却時の価格とのギャップは大きく、10~15%に達する金貨もあります。金貨を投資対象として検討する際には、この費用を考慮する必要があります。

アンティークコインとして知られる収集型金貨は、純金の含有量よりも、その希少性や収集の傾向によって投資価値が左右されます。

それは国によります。例えば、英国では金貨を販売している銀行はありませんし、アメリカやカナダでは金貨を販売している銀行はほとんどありません。しかし、ドイツの銀行では、地元の支店で金の延べ棒や金貨を購入することができます。

そこで、お住いの国や地域の銀行では金貨を販売していないかもしれませんが、多くの国の造幣局では、金の地金型コインや希少な限定版の金貨を製造しています。例えば、英国王立造幣局では、通常のソブリン金貨に加えて、女王のダイヤモンド・ジュビリーを記念して鋳造された2012年王立造幣局ソブリン金貨などの記念金貨を製造しています。

カラットの単位は宝飾品によく使われています。しかし、1オンスの金貨の多くは24カラットで、これは99.99%以上の純金であることを意味します。これらの24カラット金貨には、英国のブリタニア、アメリカのバッファロー、オーストラリアのカンガルー、オーストリアのフィルハーモニー、カナダのメープルなどがあります。

24カラット金貨は9999ミリシマルと呼ばれる純度であるのに対し、ブリティッシュソブリンやアメリカンイーグルなどの人気の高いコインは22カラット(0.9167)の純度です。

大規模な専門市場で売買される地金は、1000分の995の純金でなければなりません。しかし、専門市場では、金の純度のみを取引し、1000分の5の部分の支払いはありません。