金市場ニュース

2016年第1四半期に金の需要が記録的水準へ

2016年第1四半期の金の需要が記録的な高水準となったことが、本日金市場開発団体のワールド・ゴールド・カウンシルの金の需給の最新レポート「Gold Demand Trends Q1 2016」で明らかとなった。

今年1月から3月までの金の需要は1,289.8トンで、前年同四半期21%増となった。これは、記録史上最も高い水準。

この高い需要は、金の上場投資信託(ETF)が364トン増などと、金投資需要に牽引されたもの。この水準の増加は7年ぶりのこと。この現象は、これまでのように欧米のみに見られるものでなく、中国の金ETFはその残高を倍増している。

そして、欧州の金ETFへの需要も高く、これは、英国のEU離脱の是非を問う国民投票で、離脱派が勝つことによる「Brexit」の懸念が高まっていることを要因として上げている。

しかし、金宝飾品の需要は、金相場が急騰したことからも、価格に繊細な世界最大の金消費国のインドで、前年同四半期比41%減少し、それに次ぐ中国でも17%減少したことから、全体としても19%減少することとなった。

インドの今年第1四半期の宝飾品需要は88.4トンと、7年ぶりの低水準となった。これは、過去5年間の四半期の平均が156.7トンであり、今四半期はこれと比較しても44%減であることからも如何に低い水準となったかが分かる。

この要因は、ルピー建て価格の急騰もあるが、関税率が2月に減少するのではないかという期待が、購入を抑えていたということもある。しかし、関税率は引き下げられること無い中、2月29日の予算発表では、金原石への関税率を増加させ、金やダイヤモンドなどの宝石加工品に関して1%の売上税が課されたことから、宝飾品業界がストライキを行ない、消費者が金の宝飾品を購入できなかったことが、消費を大きく抑えることとなった。

また、中国においては、宝飾品需要が179トンと、前年度同四半期から37トン減となっていた。2月の春節(中国の旧正月)の需要の伸びにもかかわらず、中国経済の停滞から、公式データでも宝飾品の小売売上高3.9%減少している。

また、貴金属の品質を示すホールマーク(刻印)の規制が変更になり、99%の金製品に’Chuk Kam’という刻印を記さなければならなくなり、一時的に供給が減ったこと、また、中国内の銀行が宝飾品加工業者や販売業者への資金の貸出を減らしたことも要因となった。

なお、その他の需要としては、中央銀行の金の需要は前年同四半期比3%減となり、工業用もまた3%減となった。

また、供給においては、金産出量は前年同四半期比8%増となったのに対し、リサイクル量は1%減となり、総合で5%増となった。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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