金市場ニュース

ニュースレター(8月28日)1135ドル 中国株価の急落後市場が落ち着きを取り戻す中、好調な米経済指標で金相場下落

週間市場ウォッチ

先週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1135ドルと、前週同価格から1.9%下落しています。

週明け月曜日は、先週に引き続き、上海株が8.5%下げ、アジア株から欧米株式までショックウェーブは波及し、パニック的な売りから株式市場が大きく下げ る中、原油を含むコモデティも大きく下げることとなりました。このような中、日本円が安全資産として買われたように、他のコモディティと共に下げた銀とは 異なり、金も資産の逃避先として堅固な動きをすることとなりました。

翌火曜日も、上海株が前日に続き7.63%下げる中、日経も4%近く下げましたが、中国人民銀行が、政策金利の引き下げと共に預金準備率も引き下げるという、異例の追加金融緩和策を発表し、欧米株価が上げ、またドルが対主要通貨で強まったことなどから、金相場は押し下げられることとなりました。

また、同日発表された米国新築住宅販売件数が前月比5.4%増加し、消費者信頼感指数が101.5と前回91.0から大きく上回り、今年1月以来の高水準となったことも、ドル高を進め金相場を下げる要因となりました。

水曜日は、中国人民銀行の追加金融緩和にもかかわらず、上海株価は下げたことから中国当局が資金供給量を増加させ、その下げ幅は限定的となりました。そこ で、市場が落ち着きを取り戻しつつある中、金相場は、前日の下げ基調を受け継ぎ下落していたところ、同日発表の米国耐久財受注が、2.0%と予想の -0.4%を大きく上回り、ドル高が進み、トロイオンスあたり1122ドルまで一時押し下げられることとなりました。また、銀相場は14.20ドルと 2009 年8月以来の低水準まで下落することとなりました。

その後、ダドリーNY連銀総裁が同日行われた講演で、(このところの国際市場の混乱を踏まえると)来月利上げは、適切でなくなっているとの認識を示したと伝えられ、金相場は多少戻すこととなりました。

木曜日は、2日に及ぶ中国当局による資金供給もあり、上海株が上げる中、アジア、欧州株式市場も上げ、同日発表の米第2四半期GDPが3.7%と予想の3.2%を上回ったことを好感し米国株が上げる中ドル高も進み、金相場は下落することとなりました。

本日金曜日は、中国と日本の株式市場が上昇して終えたものの、前日までの調整から欧米株は下げて始まり、金相場は、ロンドン時間17時過ぎに前日までの下げの反発と月末と週末の調整ということからも、トロイオンスあたり1140まで上昇した後に、1132ドルまで戻しています。

また、ロンドン時間夕方に、フィッシャー連銀副議長の「9月の利上げの可能性は残っている」という言葉が伝えられていることも、多少金相場を押し下げている模様です。

なお、27日に始まったジャクソンホールからは、28日にブラード・セントルイス連銀総裁の「中国からのインフレへの影響はそれほど大きくない」、 「過去10日間の動向は政策見通しを大き く変えない」というコメントが伝えられる中、コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁の「インフレは依然として非常に低い」、「近い将来の利上げは適切ではな いだろう」、「見通しに基づくと緩和検討が必要にな る」というコメントもブルームバーグが伝えています。

その他の市場のニュース

  • 先週末に発表されたコメックスの金先物オプションのManaged Money(ヘッジファンドなど)のネットポジションは、先週火曜日に5週間ぶりにロング(強気)に転換していたこと。また、銀の先物・オプションのポジションも、先週に続きネットロングとなったこと。

  • 中国株価が2日続けて急落した火曜日に、上海黄金取引所でのプレミアムが、取引量が増加したにも拘らず、トロイオンスあたりマイナス1.69となったこと。これは、マージンコールの支払いをするための金の売却需要が高まり、低い価格でも取引が進んだことが要因の模様。

  • 銀価格が過去6年間で最も低い水準へ下げる中、米国の銀貨の売上が前年比13%増となっていることがレポートされたこと。

ブリオンボールトニュース

ブリオンボールト市場分析ページに、今週の主要経済指標が掲載されています。

主要経済指標(8月24日~28日)

ロンドン便り

中国の株価急落が世界の金融市場を騒がした今週のロンドン便りでは、少し柔らかい話題で、今週発表された、今年オックスフォード辞典に新たに付け加えられた1000単語のうちで、面白い単語をご紹介しましょう。

まず、このニュースレターを購読いただいている方々はよくご存知のギリシャ債務問題や昨今の英国の政治的な流れから作られた新語のGrexit(ギリシャのユーロ圏からの脱退を意味する名詞)とBrexit(英国のEUからの脱退を意味する名詞)。

面白い形容詞としては、Hangry。これは、Hungry (空腹であること)とAngry(怒っていること)を組み合わせ、空腹のために機嫌が悪いことを表現する新語です。そして、Awesomesauce。これは、Awesome(素晴らしい)をもじった言葉ですが、Awesomeを更に強調した表現する時に使われます。

そして、稀に東京の電車の中でも見かけるかもしれない光景を表すManspreadingという名詞。これは、公共交通網を利用する男性が、足を大きく広げて座ることで、隣の人の場所を侵害している状態の名詞。

その他、太っていることをからかわれたり、批判されたという動詞のFat-shameや、仲の良いグループや人とお互いをからかいあっていることを示す名詞のBants。

最後に、ソーシャルメディアに関する新語のSwatting。これは、間違ってソーシャルメディアの投稿に「いいね」を押して、それを直ぐ取消したものの、それを見つかってしまった時を表す名詞とのこと。そんな言葉ができるほど、ソーシャルメディアの「いいね」が確立してきたのですね。

言葉は生きているといいますが、1年に一度発表されるオックスフォード辞典の新語には、その年のイベントや社会の風潮などが見とれて興味深く、皆様にもお届けしました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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