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スイスの金準備売却禁止の国民投票の行方

スイス中央銀行の金準備売却禁止の是非を問う国民投票が11月30日に行われる。

この国民投票は、右派のスイス国民党が今年3月に、中銀の金準備売却禁止の是非を問う国民投票を実施するために必要な署名を集めたことから実施されることとなった。

今回の国民投票では下記の是非が問われる。

  • スイス中央銀行は、国外に保管している全ての金準備をスイスへ持ち帰る
  • スイス中央銀行の全資産の20%を金準備とする
  • スイス中央銀行の金準備の売却を行わない

スイス中央銀行の金準備の全資産に占める割合は、2010年4月以来20%を割り、今年4月現在は7.9%まで下げている。

そのため、金準備を全資産の20%まで引き上げるためには、1500トンの金をスイス中央銀行は購入しなければならないこととなる。これは、2000年から2008年に売却された量とほぼ同じ規模となる。更に、国民投票に関する詳細の説明を見ると、国外に保管されている金準備を国内へと輸送するための期限は2年とされており、金準備を全資産の20%へと引き上げる期限は5年とされている。しかし、その期限の開始時期は、国民投票後であるのか、それとも国会でその法案が議決後なのかは明確に記されてはいない。

スイス国立銀行(中央銀行の)ダンティーヌ副総裁は、中銀の金準備売却を禁止し、資産の少なくとも20%を金で保有することを義務付ける案の是非を問う11月30日の国民投票について、批判的な見解を表明している。それは、「このような規定が導入された場合、適切な金融政策を決定する能力が制限される。」ということから。

そして、3年前にスイス・フランの上限を設定した際にこのような金準備の規定があったと仮定すると、ユーロ買いの為替介入をすると同時に金を大量に購入する必要が生じ、フラン上限防衛のコストが膨らみ、中銀の決意に対して市場に疑念が生じていただろうと指摘している。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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