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金鉱会社の価格ヘッジが行なわれるようになるのか

金鉱会社は、現在の価格で固定するために、将来の産出分を事前に売却することで価格リスクをヘッジをすることは無いであろうとアナリストは分析している。しかし、それは必ずしも好まないからではないとのこと。

産出費用が増加し、金価格は2011年の史上最高値から25%下げる中、「金産出会社は、ヘッジを行なわなければならない環境に十分ある。」と、ロンドン貴金属市場協会のマーケットメーカであるソシエテ・ジェネラルの貴金属リサーチの主任のRobin Bhar氏は、International Financing Reviewのインタビューで述べている。

金の業界の「費用上昇率と高い産出費用」に注目し、Bhar氏は「10年を超えるヘッジを行なわない状況から変える時期が来ている。しかし、これら金鉱会社の株主は、金価格のエクスポージャーと、収益力の高い会社であり続けるという両面を常に持つことは不可能なことを認識する必要があるのだ。」と述べている。

金価格の上昇は、その将来の産出物をその時点の低い価格で売却するというヘッジを行なうと、株価には反映しない。主要金鉱会社は、金を借り、将来の歳出分を事前に売却することで、1990年の弱気市場で、価格を下げることに一役を買っていたと非難を受けていた。そして、2001年には、その「ヘッジブック(ヘッジ総量)」は、年間の世界の金産出量に値するものに達していた。

しかし、いくつかの金鉱会社は金価格が上昇した際に、大きな損失を出し、保有していたヘッジポジションを解消せざるを得なくなった。そのため、世界のヘッジブックは、金価格が史上最高値を記録した2011年には、全て閉じられることとなった。

そのようなことから、現在は価格ヘッジをすることは、「政治的に不可能だ」と、三井物産のストラテジストのDavid Jollie氏は同意している。そして、「主要金鉱会社が将来の産出分の価格ヘッジを行なうことは、株主が認めないだろう」と続けている。それに対し、ファイナンシャルタイムズのレポートによると、銀の鉱山会社は、トロイオンスあたり18ドルから、2011年4月に49ドルと高値を付けた2年前から価格ヘッジを行なっているとのこと。

ファイナンシャルタイムは、トムソン・ロイターGFMSのデータに言及し、「この時期にヘッジは4倍以上となった」としている。

ドイツ銀行によると、2011年の1月から2月は、1億オンスの将来生産される銀が、鉱山会社によってヘッジされたとのこと。これは、その数ヶ月前に鉱山会社が保有していたヘッジ総量の5倍であり、世界の年間産出量の7分の1の量となる。

金価格は2013年初めから18%急激に下げたため、高額の産出費用を抱える金鉱会社にとっては、「ヘッジは収益を出すよりも損失を確定する」ことになると、三井のJollie氏は述べている。

ロシアの中規模金鉱会社、Petropavlovskは、2月に次ぎ、今週2度目のヘッジを行なったことを発表している。過去には百万オンスを産出していたこの金鉱会社は、2013年に株価を65%下げ、費用とボーナス削減を行なっている。

Petropavlovskの将来12ヵ月の産出量21トンのうち、70%をトロイオンスあたり1663ドルと、今回1408ドルでヘッジしている。

現在の価格でヘッジをしても十分に利益を出すことが可能な産出効率がより良い費用の低い金鉱会社は、「大規模である場合が多く、ヘッジすることを望んでいない」と株主が望んでいないことを再度三井のJollie氏言及している。しかし、金価格が1500ドルへ上昇した場合、「昨今の経験から、将来の価格下落リスクから守るためにも、金鉱会社はこの価格でヘッジを行なうことを望む可能性は高い」としている。

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